「謝るのは、俺の方だろ…」
「え…?」

「お前が望んでる事、何も出来なくて…」
「……」

「伝え方が分からないんだ。言えば済むかもしれないんだけど… その2つの文字だけ言えなくて… 何でだろうな…」
「先輩…」

「思ってはいるんだけど… 言うタイミングとか、どんな顔して言えばいいのかとか、いろいろ考えてる内に分からなくなって…」

それに、プライドも邪魔してるんだと思う。
大地に好きだと言いたくない。言ったら負けのような気がして。

別に勝負してるわけじゃないんだけど、俺の方が大地を好きになるのが嫌なんだ。
俺が大地を好きな気持ちより、大地が俺を好きな気持ちの方が大きいと安心だろ?

…でも、好きだと言ってしまいたい気持ちもあるんだ。
大地からの言葉に、素直に応えたいと思う。
いろんな要因が重なってごちゃまぜになって、雁字搦めになって動けないんだ。

「いざ言おうと思うと肩に力が入って… そうこうしてる内にタイミングもズレてって…その繰り返しだ…」

「それって… 言えないけど、気持ちはあるって事でいいんですよね…?」

「あぁ… その2文字が言えねーの。ただ続けて言えばいいだけなのになぁ…」

独り言みたいに呟くと、大地がまた下を向いた。
泣いてるのかと思ったけど、涙は引っ込んだみたいで流れていない。

それくらい言えよ、って思ってんのかもな。
大地に出来て俺に出来ないなんて、どっちが年上なんだか…



* * *


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