* * *


…息苦しい。
体に重い何かが のし掛かってる気がする。

こんな昼間でも金縛りってあるんだな…と思いながら薄く目を開けると、すぐ前に黒い頭が見えた。
この見慣れた坊主頭は…もしかして、大地?

「…あ、先輩!」
「何してんだ…?」

俺の胸に顔を埋めてた大地が、ガバッと起き上がって心配そうな顔で見つめてくる。
苦しかったのはコイツのせいだったのか…この野郎。

「先輩が寝てるって聞いて…大丈夫ですか?」
「あぁ、ただの貧血… 少し横になれば楽になるから」

「貧血…?」
「めまいがしただけ。寝不足と…最近あんまり食欲なくて」

「どうしてですか?」
「どうしてって…」

お前だよ、お前。
大地との事をどうしようと悩んでたら、ちょっと自分の事が疎かになっただけだ。

言い淀んでると、空気を感じたのか「俺が原因スか…?」って聞いてきた。
その通りだったから否定せずに黙ってると、大地の目がどんどん潤んでくのが分かった。

「…お前、泣いてんの?」
「だってっ、俺のせいでっ…!」

「大袈裟だな… これぐらい、泣くほどの事じゃないだろ…?」
「違います…!」

袖で涙をぐいっと拭いながら、座ったまま俺に向かって頭を下げてきて驚いた。
起き上がって頭を上げさせたい所だけど、体に力が入らない。

「無理なら無理だって言って下さい…!」
「…? 何が…?」

「俺と、付き合っていくことです…!」
「…は?」

な、何言ってんだコイツ?
もしかして、フラられるとでも思ってんのか?

「先輩に気持ち押し付けるだけ押し付けてっ、先輩をこんな風にさせちゃうなんて…! 最低です、俺は…!」

泣きながら謝ってくる大地を見て、胸が強く締めつけられる。
違う、俺が悩んでるのはそうじゃない。

どうして俺は、大地をいつもこんな顔にさせてしまうんだろう。
ただ好きだと伝えれば済むはずなのに、何でこのたった2文字が言えないんだ。


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