* * *


…最近、避けられているような気がする。
露骨にってわけじゃなくて、少しずつ…こう、ふとした瞬間に感じるというか。

目を合わせて話をしていたのに、すっと逸らされる時の表情とか。
くっつこうとする一瞬前の、身構えるように反応する体の動きとか。

先輩は照れ屋っていうか、恥ずかしがり屋みたいな所があるから、そのせいなんじゃないかって思ってたけど…

付き合ってる事実が嬉しくてのぼせてたけど、落ち着いてみると違う事実が見えてくる。
『俺に流されて付き合ってるんじゃないか』って。

前にも同じような不安を先輩にぶつけた事があるのは、覚えてる。
あの時は、『好きだから好きだって言える奴ばっかじゃない』って言ってた。

それもそうかもしれないんだけど…
先輩の性格からして、俺みたいに好きだ好きだと連呼するような人じゃない。
それも分かってるんだけど、頭で理解しても心が割り切れてくれないんだ。

癖になってきてるため息をついた後、クラスメイトの倉橋が隣に座ってきた。

「どーした? お前も具合悪いの?」
「いや、別に…」

「そっか? 暗い顔してんじゃん」
「ん〜…。そっちは風邪?」

「俺? いや、全然。何で?」
「え? だって、お前'も'具合悪いのかって聞いたじゃん」

「あー! いやいや、俺じゃない。先輩だよ、お前と仲がいい先輩」
「先輩…?」

「何だっけ、イチハラ先輩だっけ?」
「えっ!? せ、先輩がどうしたの!?」

先輩が体調崩してるなんて、知らなかった!
驚いて詳しい話を聞くと、倉橋がさっき保健室に行った時に、先輩が白い顔してベッドに横になっているのを見たらしい。
こ、こうしちゃいられない!

「俺も保健室行ってくる!」
「えっ! もう授業始まるって!」

「…うっ、急にお腹が痛い…! あぁ大変だ…! これは痛いぞ…!」
「頭押さえながらお腹痛いってお前…」

「これは保健室に行かないと! 先生に言っといて! それじゃ!」
「はいはい。……仮病なら走って行くなよ」



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