「じゃあ、これから付き合うとなると…まずアレだな」
「アレって?」

「'約束'すっか。どっか行く?」
「行く!!」

やったー!と喜ぶ山ちゃんが、どっか幼くて可愛い。
慎吾をイジって遊んでる時と、全然違うな。

「何か、見る目変わるなー。そんなんだっけ、山ちゃんって」
「何が? 何かおかしい?」

小首傾げて不思議そうにしてる山ちゃんを見て、思わず微笑んでしまう。
問いには答えずに、握ってる手を撫でるように触ると、山ちゃんの目がまた泳いだ。

ドキドキしてるんだろうか、こんな些細な事で…
なんて思ったら、勝手に顔がニヤニヤしてしまう。

「なぁ、いつから俺の事好きだったの?」
「えー… もう、ずっと前だよ」

「へぇー、全然知らなかったな」
「本やんのニブちん…」

お、拗ねた顔も可愛い。
もっと近くでその表情を見たくて引き寄せると、山ちゃんがあわわと慌てた。

「俺も、山ちゃんのこと幸せに出来るように頑張るわ。実力で」
「…う、うん… 何もしなくてもいいけど…」

「え?」
「1番近い距離にいれるだけで、もう幸せだから」

ちっさい声で呟くように言い、すりっと胸に寄りかかってきた。
ドキドキしつつ腕を背中に回すと、山ちゃんが「…本やんさぁ、何でそんな普通なの?」って聞いてきた。

いや、全然普通じゃないんだけどな…


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