いろいろと驚いてると、山ちゃんが不安そうに視線を逸らしてきた。
いつも自信満々なのに…こんな表情もするのか。

この短い時間で、こんなに山ちゃんのいろんな顔が見れるなんて。
自他共に認める仲良しな俺たちだけど、まだまだ知らないことがたくさんあるんだろう。

そしてもっと山ちゃんを知りたいと思ってるって事は…俺も、山ちゃんと同じ気持ちなんだろうなと思う。

「…じゃあ、俺の運は山ちゃんにあげるよ」
「…え?」

「ラッキーの残高どれぐらいあるか分かんないけど、たぶん同じくらいだと思うから」
「…えーと、そ、それは…?」

遠回しだったかな、と自分に少し笑う。
まだ少し震えてる山ちゃんの左手に、俺の右手を重ねた。

「そこまで言われて、惚れない訳ないじゃん」
「…えっ?」

「今までも山ちゃんのこと好きだったけど、違う意味でも好きになった。責任とって幸せにしてくれよな」
「……っ!」

一瞬だけ、くしゃっと泣き顔になった。
すぐに俯いて隠されて、次に顔を上げた時には、いつも見ている笑顔に変わってた。

「もちろんだよ! 俺と付き合わないと不幸になるからね!」
「ははは! やっぱカッケーな山ちゃん!」

また二人で笑い合うと、重ねたままだった手をギュッと握られる。
もう震えてない手を俺からも握り返すと、山ちゃんが えへへと照れながら笑った。

「…あ。でも山ちゃんと付き合えるなんて、一生の運使い果たしたかもな」
「あはは! じゃあもう使えないねv」

「山ちゃん何とかして増やせる?」
「うん、任せて!」

何の根拠があるのか分からないけど、このキラキラした笑顔をみる限り、マジで増やせそうな気がするな。


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