「あんまり深く考えた事ないけど、俺も消費するんじゃないかって思ってる派だな。和己と一緒で」
「ふーん…」

「だとしたら、山ちゃんと出会ったラッキーは、どれぐらい使っちゃったんだろうな」
「え…?」

山ちゃんの肩が、ぴくっと動いた。
少し俯くようにして、視線がキョロキョロしてる。
さっき自分から言ったくせに、照れてるんだろうか。

ていうか、今の山ちゃんはどこかいつもと違う。明らかに違う。
どこか弱弱しいっていうか…呼吸も浅い気がするし。やっぱり体調悪い?

「山ちゃん、大丈夫?」
「え? な、なにが?」

「顔、赤いし。震えてない? 保健室行くか?」
「…だ、大丈夫。もうちょっとだから」

「何が?」
「…、……」

小さい声で、何かを呟くのが聞こえた。
聞き取りづらくて聞き返そうとした所で、ようやく山ちゃんが体全部でこっちを向いた。

まるで発熱してるみたいに呼吸が浅くて、ぎゅっと握ってる手が小さく震えてる。
やっぱり保健室に…と思った所で、山ちゃんが口を開いた。

「本やん…」
「ん?」

「俺、本やんのこと好きだよ」
「……え?」
 
「俺が、本やんのこと幸せにする。俺の持ってる運も、全部本やんにあげる」
「山ちゃ…」

「これから、本やんもいろんな人に出会うと思うけど…それでも俺が、1番本やんのこと好きだよ。俺と…俺といて、損はさせないから」

手だけじゃなく声も震わせながら、じっと俺の目を見て外さない。
こんな必死な山ちゃん、初めて見た。
それに、俺の事が好きだって…全然気付かなかった。


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