「まぁ、長期戦になるのも覚悟してますからね。ったく、強情っていうか、頑固っていうか…」
「…それなのに、俺の事好きなのかよ?」
「当たり前でしょ。この程度で見切りつけるような、半端な気持ちじゃないんで」
「そ、そうですか…」
サラッと恥ずかしい事言われたんですけど…
火照った顔に、少し寒い夜風が心地良い。
榛名はいっつもドストレートだな。
俺みたいにアレコレ考えなくて、本当に羨ましいヤツ。
俺のが年上なのに…とか悶々と考えてると、ふいに榛名が立ち止った。
寸での所で背中にぶつかるのを回避し、急に止まるなと文句を言おうと口を開いた所で、くるっと振り向かれた。
「ねぇ、かぐさん」
「な、何だよ?」
「本当は、俺の事好きだったりしませんか?」
「へ!? な、ななな何言って…!」
「俺の都合のいい勘違いッスか?」
「…な、何だよ。今日の分はもう終わりなんだろ…」
明日また口説くって言ってたじゃないか。
ぼそぼそと呟きながら、下を向いて目を合わせないようにする。
あーあ、またはぐらかしてるし。
本当、榛名の言う通りにズルくて卑怯なヤツだよ、俺は。
そう自己嫌悪してると、榛名に急にグイッと腕を引っ張られた。
「うわぁ!」とか間抜けな声を出しながら、ガッシリした両腕の真ん中に入ってしまった。
…ってことは、抱きしめられてるって事!?
うわわわわ!
急に何すんだ!
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