「好きだって言った時から、覚悟は出来てるんス。ハッキリ言って下さい」
「か、覚悟…?」
「フられる覚悟ッス。俺に気ぃ遣ってるのかもしれないスけど、逆効果ッスから」
「えぇー…」
今まで散々押してきたのに、いきなり引いてきやがった。
そんな風に言われると、ますますどうしたらいいのかと頭がパニック状態だ。
榛名をフッてしまえば、どうなるんだろう。
今までの先輩後輩の仲に戻るんだろうか。
それとも避けられて、前みたいに笑いあうなんてことはなくなるのかな。
ここ1ヶ月以上同じ事ばかり考えて、それでも結論を出せないでいる。
分かってる、俺が全部悪いんだ。
榛名の気持ちに答える勇気がない、俺が。
もし付き合ったとして、うまくやっていけるのか?
すぐに飽きられるんじゃないか?って。
俺のダメな癖だ。アレコレと先に考えちゃって、一歩踏み出せない。
榛名にも『全力でやってないくせに諦めるな』って言われたのに。
ぐるぐる考えて自分がいかにダメ人間なのかを確認していると、榛名が沈黙に痺れを切らしたのか「だーもう!」って大声を出した。
「っとに、手強いッスね! もういいスよ。今日はこの辺にしといてあげますから」
「えぇー…?」
「また、明日も口説きますんで。帰りますか」
「…おー」
カシャンとフェンスから両手が離れて、先に歩く榛名の後をついていく。
あぁ、またはぐらかしてしまった。
昨日も一昨日も先週も、はぐらかし続けているのに。
このままじゃ、いつまでたっても同じことの繰り返しだ。
いつまでたっても…俺は、榛名を傷つけ続けるのか…?
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