・ ・ ・


うんうん考えてる間に、浜田が戻ってきた。
無造作にガシガシと頭を拭きながら、冷蔵庫を開けて牛乳を飲んでる。

その姿にさえ、ドキッとしてしまう自分が恨めしい。
きっとシたいと思ってるから、そんな風に見えてしまうんだ。
うん、そうに違いない。

「明日は朝練ー?」
「いや、朝練はなし。放課後はあるけど」

「そっかー、じゃあゆっくり出来るなー」
「おー…」

…だから、ココに来たんじゃないか。
浜田と遅くまでエロエロな事が出来るかと思ったのに、この雰囲気じゃ気を遣ってしまう。

…よし! やっぱり帰ろう!
このままココに居ても出来そうにないし、だったら帰って一人でシた方がマシだしな!
浜田の傍にいるだけなんて、生殺し状態だもんな!

「…何か、疲れてそうだし、今日は帰るわー」
「え?」

「早く寝て、回復しろよ。そんじゃ、おやす」
「ちょっ、ダメー!」

ひらひらと手を振って部屋を後にしようとしたら、その手を思いっきり掴まれた。
その上引き留める声もデカくて、思わず俺も「うわ!」なんて声が出た。

「ごめんごめん! 待たせちゃって! だから帰んないで!」
「いや、別に怒ってないんだけど…」

待たされた事に対して怒ってるとか不貞腐れたとかじゃないんですけど。
ただ家に帰ってアレコレしたいと思ってるだけなんですけど。

「疲れてるんだろ? だったら、早く寝た方がいいって。俺はまだ眠くないし、だから…」
「疲れてない! 眠くない!」

「嘘つけ、さっき眠いって言ってたぞ」
「今、目が覚めた!」

堂々と嘘をつくなっつーの。

ていうか、空気を読んでくれ。
浜田を気遣ってるのは本当だけど、帰りたい理由はそれだけじゃないんだから。


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