次は俺の家か、沖の家か。

そればっか考えちまうなんて、
貪欲すぎだろ、自分。


●●Crazy for you●●●


…間に合わなかったか。
部室前のドアで固まってる沖を見て、自分のタイミングの悪さを呪う。

部活が終わって、夜の10時過ぎ。
1度帰宅してシャワーを浴び、その後に沖と会う為に 部室前で待ち合わせたのはいいものの…その部室内で、花井と田島がエロイ事をしてるなんてのは、計算外だった。

先に俺が到着して、沖を待とうと思ってたら、部室内から明かりが漏れていて。
花井が消し忘れたんだろうと思ってノブに手をかけた所で、中から声が聞こえてきたんだ。

「…ぅぁ! …はないぃ…」
「…もっと、シてほしいのか…?」

ドア越しだから見てはいないものの、その二人の会話のトーンで、ナニをしてるのかがすぐに察しがついた。
何でこんなトコで、と思ったけど、まさか今部室に入ってツッコむわけにもいかないし。

沖がここに来る前に、と電話をしたけど出ないし、メールをしても返事が来ない。
恐らく、マナーモードにしたまま気付いてないんだろう。

声が聞こえるココで、大人しく待つのも気が引けて…どうせなら、沖がここに来る前に迎えに行ってしまおうと思って離れたんだけど、それが失敗だった。

入れ違いになってしまい、結局は沖もこの事態を目の当たりにしたわけで。
ノブに手をかけたままカチーンとなってる沖にそっと近づき、半ば無理やりに引っ張って連れ出した。

「…す、」

巣山、って言おうとした沖に、シーッと声を出さないようジェスチャーで伝えると、理解したのか黙ってついてきた。
ここで迂闊に喋ったら、花井達にバレるかもしれないからな。

いくら何でも、それはお互いに気まずい。


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