「…うわ〜、感動ッス…!」
「…へぇー」

「あのー、先輩も…」
「え? あ、あぁ…」

されるがままだった手に、俺も力を入れて握り返す。
それに、大地が心底嬉しそうに笑った。

…何か、抱きしめられた時も同じような会話をしたような気がする。
恋人らしいことをしたいと告げられた時から、覚悟はしてたけど…こんな事でこんなに喜ばれるなんて、と何だか こそばゆい。

「先輩、ちょっとは暖かくなりました?」
「まぁまぁ」

大地の笑顔が、暗い夜には場違いみたいに眩しい。
たまに指に力を入れてにぎにぎしてきて、それに呼応して心臓が飛び跳ねて忙しい。

直視する事が出来なくて俯いてると、横でふっと笑った雰囲気が伝わってきた。

「…先輩、そろそろ1分経ちますかね?」
「んー、そうかもな…」

「先輩、先輩!」
「何だよ」

「星が綺麗ッスよー」
「ん? あぁ、そうだな…」

顔を上げると、確かに星がよく見える。
街灯が少し邪魔ではあるけど…深い藍色の空の上、遠くの星が強く瞬いていた。

「先輩、先輩!」
「はいはい、今度は何だよ?」

半ば呆れ気味に返事をすると、一気に目の前が暗くなった。
それもそのはず、街灯の光が俺の視界を塞いでしまったから。

そして、柔らかい何かが唇に触れた感触。
…つまり、俺は大地にキスされたわけで。


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