「あっ、待っててくれたんスね! 嬉しいッス〜v」
「…はいはい」
お互いに買った袋をぶら下げながら、少し歩こうって事になった。
いつもよりも気温が低い夜、何でわざわざ歩かにゃならんのだ…とは思うけど、あんまり構ってやらないとスネるからな…
「先輩、パンとおにぎりだったら、パンのが好きなんスか?」
「いや、そういうわけじゃないけど… パンの気分だったから」
ほうほう…と真剣に頷く大地。
こんなどうでもいい情報、そんなキリッとして聞く必要ねーだろ。
「あ、良かったら一緒に食べませんか? そこの公園で」
「えー? …んー、分かった」
「マジすか!? やったー!v」
「おま、夜なんだから静かにしろ!」
デカイ図体してるくせに、子供みたいに喜ぶ大地の腕を肘で小突く。
すると、小突いた腕をそのまま掴まれて、グイグイと公園に引っ張られた。
別に 逃げねーっつーのに…
「じゃ、ココ座りますか!」
「おー」
街灯の真下にあるベンチに腰を下ろして、さっき買ったパンの包みを開ける。
大地も隣で同じようにおにぎりの包みをいじってたけど、いつも通り失敗したらしい。
「あー、またやっちゃったッスー」
「ヘッタクソだな。力入れて開けるから、破れんだよ」
力任せに開けたせいで、海苔が袋の中に入ったまま千切れてしまった。
おにぎり好きなくせに、いつもこうなるんだよな。
いい加減、学習しろっての。
[*prev] [next#]
2/8
【目次・SR・TOP】