「あっ、待っててくれたんスね! 嬉しいッス〜v」
「…はいはい」

お互いに買った袋をぶら下げながら、少し歩こうって事になった。
いつもよりも気温が低い夜、何でわざわざ歩かにゃならんのだ…とは思うけど、あんまり構ってやらないとスネるからな…

「先輩、パンとおにぎりだったら、パンのが好きなんスか?」
「いや、そういうわけじゃないけど… パンの気分だったから」

ほうほう…と真剣に頷く大地。
こんなどうでもいい情報、そんなキリッとして聞く必要ねーだろ。

「あ、良かったら一緒に食べませんか? そこの公園で」
「えー? …んー、分かった」

「マジすか!? やったー!v」
「おま、夜なんだから静かにしろ!」

デカイ図体してるくせに、子供みたいに喜ぶ大地の腕を肘で小突く。
すると、小突いた腕をそのまま掴まれて、グイグイと公園に引っ張られた。
別に 逃げねーっつーのに…

「じゃ、ココ座りますか!」
「おー」

街灯の真下にあるベンチに腰を下ろして、さっき買ったパンの包みを開ける。
大地も隣で同じようにおにぎりの包みをいじってたけど、いつも通り失敗したらしい。

「あー、またやっちゃったッスー」
「ヘッタクソだな。力入れて開けるから、破れんだよ」

力任せに開けたせいで、海苔が袋の中に入ったまま千切れてしまった。
おにぎり好きなくせに、いつもこうなるんだよな。
いい加減、学習しろっての。


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