* * *


放課後。
俺の願いも虚しく、梅の機嫌は悪いままだった。

つーか、そんなに怒ることしたか?
アイツが気にし過ぎなだけだっつーの。

「うーめーくーん」
「……」

「一緒に帰りましょー」
「……」

ずんずんと歩く梅の後ろを、2歩遅れてついて行く。
無言のままの背中に向かって、今日はいい天気だねーとか、何かうまいもん食いたいねーとか一方的に喋ってると、梅の家の前でようやく振り返った。

「どこまでついてくんだよお前!」
「あ、やっと振り向いた。遅いっつーの」

「知るか。じゃー、お見送りどーも」
「ちょちょちょ!」

さっさと家に入り玄関のドアを閉めようとした所で、俺も素早く家に入る。
ここで引き下がってたまるか。

「何で入ってくんだよ。不法侵入だぞ」
「部屋まで見送ろうと思って」

「いえ、ここで結構ですので」
「いえいえ、遠慮なさらずに」

俺が引き下がらないと踏んだのか、梅が大袈裟にため息をついて踵を返す。
トントンと階段を上がる後ろを、また2歩遅れてついていく。

相手の懐に入ってしまえば、こっちのモンだ。
さっさと許してもらってイチャイチャしよー。


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