世界が、
こんなにも美しいなんて。

お前に会うまでは、
気付こうともしなかった。



○○金色鮮世○○○



「うあー、つっかれた〜…」

貧乏ヒマ無しとは、よく言ったものだ。
働けど働けど、暮らしは全然楽にならない。

それもそのはず、家にはたくさんの子供たちがいて、そいつらをまとめて面倒見なければならないからだ。

家族は全員、出稼ぎでいない。
一人で住むには広すぎる茅葺屋根の家で、明日食べる米を毎日心配しなければならないのだ。

俺一人分の食料ならある。
だが、孤児のあいつらにも食わしてやらないといけないと思うと…ああ、何で俺は貧乏な家に生まれてしまったんだろう。

「どうした の?」
「お腹痛いのかー?」

まだ7つの、廉と悠一郎に声をかけられる。
川べりでついボーッとしていた俺は、何でもないと返し…畑仕事の為に家の裏側へと歩いていった。

俺が面倒見てるのは、全員で9人。
先の戦で親を亡くしたらしく、子供たちだけで山を幾つも越えてきたらしい。
それに感動した俺の親が、ここで全員を引き取ることになったってわけだ。

「せめて、もう少しデカかったらな…」

俺の仕事を手伝ってもらえるのに。
7つじゃ、鍬も鎌も持たせてしまうのは、心もとない。

万が一、怪我でもさせてみろ。
治療費なんて、家を逆さまにしたって出てこないんだからな。



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