* * *


翌朝。
約束した通りに、箪笥にしまっていた親父の服を手渡す。
さして寸法も違わずに、なんとかマシになったって感じだな。

ソイツはやけに喜んでいて、早速着込んだ後は、梓たちと一緒に山へと働きに出て行った。
その後も、日が暮れるまで働いてきたようで…山の薪や川の魚を売り、まぁまぁな収入を得てきたらしい。
やっぱり、この頭は目立っていいのかもな。

…だが、あろうことか。


テメェ! こんな布ばっかり買ってきてどうすんだ! ああ!?」

この大馬鹿野郎は、その収入を全て…反物にばかり使いきってきやがった。

「だ、だって! 服、嬉しかったから…!」
「服で腹が膨れるか!? こんだけの反物があれば、二日は過ごせたんじゃねぇのか!?」

俺の大説教に、コイツは縮こまって項垂れている。
反省程度なら、その辺の犬にだって出来んだぞ!

「今すぐに町へ戻って、全部返して来い! そんで食料に変えて来い! 今すぐだ!」

「で、でも…」

「何だよ、何か文句あるのか!?」

さっきから怒鳴り散らしてばっかで、少し声が枯れてきた。
それを見計らってなのか、今まで黙っていた梓が馬鹿の目の前に立った。


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