「俺がココを離れると、孝介と…」
「は? …おい。何で俺の名前…」

「知ってるよ、孝介のことは。生まれた時から、ずっと…」
「はぁ…?」

ハハッと笑いながら、悠一郎と一利の頭を撫でてる。
それに嬉しそうにくっつくこいつらを見たら、変に毒気が抜かれてしまった。
これ以上、俺だけが とやかく言っても、無駄かもな…。

「…しょうがねぇな。だったら、お前も働けよ。手伝うとかお守りじゃなくて、誰よりも稼いで来い。いいな?」

「はーい!」

元気に返事するコイツに、嬉しそうに群がってく子供たち。
やっぱり、また面倒事を増やしちまったか…俺もお人好しだな。
こうなったらコイツをとことん働かせて、俺がラクしてやる!

「分かったら、もう寝ろ。朝は早いんだからな。オイ、そんでお前」
「え? なに?」

「衣はそれだけか?」
「え、まぁ…そうだけど」

「俺の親父のを貸してやる。明日になったら、今着てるの洗濯しろよ」
「うわ、いいの!?」

「お前の頭は目立つからな。町へ出るなら、少しでも綺麗な方がいいだろ」
「おー、分かった!」

この格好で町へ出すには躊躇してしまう。
それぐらい、こいつの衣服はボロボロで地味で、継ぎはぎだらけだった。

逆を言えば、その衣服さえどうにかすれば、目立っていい商売が出来るかもしれないって思ったんだ。

こいつには、もっと稼いでもらわないといけないからな。
利用できる部分は、利用しないと。

そう約束した後、寺から離れて家へと戻る。


明日からは、
もっと忙しくなるかもな。




* * *


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