「…しっかし、ここまで貧乏って…おかしいんじゃねぇのか?」

危ないことはさせてないけど、釣りとか薪拾いぐらいはさせてる。
それを町で金に変えて、食料は買っているはずなのに…どこでどう採算が合っていないんだ?

「誰かがくすねてるとか…」

…まさかな。
あいつら9人全員、俺をまるで仏のようにして崇めているし。

寝食の世話をしてるだけだけど、あいつらは一度戦火の地獄を見てきたわけだから…そう思ってしまうのは当たり前からも知れないけど。

そんなあいつらが、俺に黙って金を…なんてことは考えられない。
じゃあ、原因は一体何だろう。

そう考え込みながら、あいつらが寝てる廃寺へと足を運んだ。
この狭い家では、10人全員で寝泊り出来ないからな。

ため息をつきながら向かうと、中から賑やかな声が聞こえる。
何をしてるんだろう、と引き戸をそっと開けると、頭の数が全部で…10?

「ねーねー、次はお馬さんしてー!」

てててと勇人が走り寄った先は、見たこともない…金色の髪をした男がいた。


だ、誰だコイツ?
ここで何してるんだ?
 


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