***


遅い朝食の後は、また昼過ぎまで寝て。
その後に少しだけ起き上がって、黒い木々と白い雪の庭を見て。
日が沈んだら夕食にし、また寝て。

睡眠、散歩、少しの食事――それが、今の全てだ。
ただ呼吸をしてるだけの体…こんな使えもしない肉体など、いっそ雪のように溶けて消えてしまえばいい。
慎吾さんの未来を奪ってまでの価値は…ない。

今まで何度か脱走を試みたけど、筋肉が衰えて歩行もままならない状態では、すぐに見つかって連れ戻されてしまった。

ただ罪悪感だけが身に染みる日々だけど、慎吾さんは病気にかかる前と同じように接してくれる。
動けない俺と同じ布団に入って、昔の笑い話から医学の難しい話まで、ずっと喋ってくれる。

慎吾さんの話を聞いてるだけで、生きる希望みたいなのが少しだけ顔を覗かせるけど…ひとたび離れるだけで、途方もない絶望が胸を占めた。


慎吾さんと共に居てはいけない。

そう頭では分かってるのに、
心と体がついてこない。


ただ、傍にいたい。




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