「はぁ〜、楽しかった〜!」
「うん、もう最高! ありがとね、白鳥座!」
アズサと約束していた、大きな木の下に降ろしてもらう。
白鳥座は高く鳴き、バサバサと飛んでいなくなった。
「おーい、こっちだー!」
「お!」
アズサが大きく手を振ってる。
そこには牛車が用意されていて、アズサが運転してくれることになっているんだ。
「お待たせ〜」
「おう。ユウト、久しぶりだな」
「うん、ユーイチローは元気?」
「元気過ぎだ。どうにかしてくれ」
呆れるアズサに笑いながら、牛車に乗り込む。
二人で並んで座り、アズサが牛にムチを打つ音が聞こえた。
「ちょっと狭いかな〜?」
「一人乗りだもんね。でも、近くなれるし…」
ポソポソと小声で喋ると、照れて俯くユウトが可愛くて仕方ない。
「ねぇ、誰も見てないよ…?」
「……うん、」
ゆっくり引き寄せれば、ユウトも体を預けてくれる。
頬を撫でた時に、初めて気が付いた。
「あれ、泣いてるの…?」
「ごめ、嬉しくて……」
エヘヘと笑う彼が愛しくて。
強く抱きしめ合いながらした1年ぶりにした接吻は、涙の味がした。
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