「な、何すんだっ!」
「ちょ、暴れんなや。何もせぇへんって!」
「離せっ、このっ!」
「食いモンくれてたんやろ? お礼言いたいだけやねん!」
暴れても無駄だと思ったのか、そいつが大人しくなる。
振り向いたその瞳は、今日も深い藍色をしていた。
「…目、綺麗やなぁ」
「はぁ…? お礼言うんじゃないのかよ」
クスっと笑った顔が、これまた別嬪さんで。
美少年っちゅーのは、こういう奴のこと言うんやなぁ。
「そうやった。おおきにな」
「おおきに?」
「ん? ありがとう、っていう意味や」
「…ふーん。お前、人間…だよな?」
「へ? 当たり前やん! ハハッ、何に見えるん?」
「いや、人間の言葉知らないのかと思って…」
関西弁知らんのかいな。
それに少し笑ってると、気が付いた下半身の違和感。
「なぁ、これは何なん…?」
「これって何だよ」
ゆらゆらと見える下半身は、どう見ても足1本しかない。
というより、それは足には見えず…魚の尻尾にしか見えないんやけど。
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