「な、何すんだっ!」
「ちょ、暴れんなや。何もせぇへんって!」

「離せっ、このっ!」
「食いモンくれてたんやろ? お礼言いたいだけやねん!」

暴れても無駄だと思ったのか、そいつが大人しくなる。
振り向いたその瞳は、今日も深い藍色をしていた。

「…目、綺麗やなぁ」
「はぁ…? お礼言うんじゃないのかよ」

クスっと笑った顔が、これまた別嬪さんで。
美少年っちゅーのは、こういう奴のこと言うんやなぁ。

「そうやった。おおきにな」
「おおきに?」

「ん? ありがとう、っていう意味や」
「…ふーん。お前、人間…だよな?」

「へ? 当たり前やん! ハハッ、何に見えるん?」
「いや、人間の言葉知らないのかと思って…」

関西弁知らんのかいな。
それに少し笑ってると、気が付いた下半身の違和感。

「なぁ、これは何なん…?」
「これって何だよ」

ゆらゆらと見える下半身は、どう見ても足1本しかない。
というより、それは足には見えず…魚の尻尾にしか見えないんやけど。


[*prev] [next#]
6/18

目次に戻るTOPに戻る




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -