「同じ男だってのは分かってる。けど…」
「む、むりですっ…!」
ハッキリした拒絶の言葉に、ズキンと胸が痛む。
でも、俺以上にレンが苦しそうにしてるのは…なぜだ?
「俺が男だからか…? たかが性別だろ、俺の気持ちはそんなんじゃ…」
「…ち、違いますっ!」
「…俺のこと、嫌いか?」
「…それも、ちがっ…!」
ついに泣き出してしまったレンの体を、むりやりグイっと引き寄せる。
初めて抱きしめた体は、予想以上に…細かった。
「……あべくん?」
「どうしても、ダメか…?」
「…違うんだ、違う…。おれも、あべ君、好きだよ?」
「えっ!?」
「でも、ダメなんだ… おれ、おれは…!」
「…レン?」
ボロボロに流れるレンの涙を、優しく手で拭えば、震える手を重ねてきて。
寂しそうに、でもどこか悔しそうに泣くレンは、俺の心をひどくかき乱した。
「何でダメなんだ? 好き合ってるなら…」
「…だ、だって、おれ…!」
キッと俺を見つめたその次の言葉は、
俺の予想を、
遥かに超えたモノだった。
* * *
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