* * *
足が痛いながらも、レンと並んで台所で食器を洗う。
御礼になるとは思わないけど、食ってハイ終わり、ってのは気が引けるからな。
広いシンクだな、と俺がキョロキョロしてるのを見てなのか、レンも同じように挙動不審になっていた。
ずっと独りだって言ってたからな、並んで後片付けをしたことないからかもしれない。
そのわたわたする動きがおかしくて、何だか和んでしまった。
その後はレンに手伝ってもらいながら風呂を借りて、寝室も貸してくれることになった。
これもまたドでかいベッド。
キングサイズなんじゃないか、これじゃ。
「いいのか、ベッド借りちまって。ソファーでもいいけど…」
「うん! 足、痛いでしょ…?」
確かに痛い。
レンが添え木をしてくれたおかげで、いくらかはいいけど。
この足じゃ、明日すぐに下山なんてできないかもな。
俺の心でも読んだのか、レンがもじもじしながら「治るまで居てもいい」と言ってくれた。
願っても無い好都合の展開に安堵しながら、またお礼を言う。
世話になりっぱなしだな、ホント。
「マジでありがと。助かるわ」
「…い、いえ!」
色白な頬に、少しの赤が差し込む。
それに、トクンと胸が疼いた。
俺はその正体に気が付かず…疲れのせいか、すぐに眠りに落ちてしまった。
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