「アズサでしょ、考えたの」
「あちゃー、バレたかー」
「バレバレだよ!」
「あははは!」
ユーイチローの説明を受けながらした釣りは、思った以上に楽しくて。
大物がかかった時は、ユウトと一緒に釣り上げる。
そして、それを宙に放り投げれば、星は大きくしなって流れ星になった。
幾つも星を流し、心地よい疲労感が体を襲う。いつもお役所仕事だから、体を使うなんて滅多に無いもんなぁ。
ユウトも同じだったみたいで、浅い呼吸を繰り返している。
「ダイジョブ〜?」
「うん、すっごい楽しい!」
次に行こう!と手を引っ張られ、ぐんぐん進んでいく。
後姿を見つめながら、今日は最高の日だな、と思った。
次に行ったのは、舞台のようなところ。
そこにいたのは、ニヤッて笑ってるタカヤだった。
「よー、相変わらずのマヌケ面だな」
「ちょっと、コウスケもだったけどヒドくない?」
「アハハハ、打ち合わせしてたりして」
「えぇ!? そんな打ち合わせしないでよ!」
久々の再会なのにぃ…と口を尖らせれば、舞台の影からちらちらと覗く影。
「…あっれー、もしかしてレン!?」
「! ひ、ひ、ひさし ぶり…!」
声をかければ、てててと駆け寄ってきた。そしてタカヤの影に少し隠れて、ニコニコしてる。
この二人も、相変わらずみたい!
「ねぇ、ここは何?」
「ああ、星舞台だ。ま、長いもんじゃないし、寄ってけよ」
「もちろん!」
「うわー、楽しみ!」
座席は二つだけ。
そこにユウトと並んで腰掛けながら、幕が上がるのを待った。
演劇かな、と思ったけど、歌唱だったみたい。
どこから集まってきたのか…タカヤやレンだけじゃなく、アズサやコウスケ、カズ達が全員が舞台に上がり、透き通った歌声を聞かせてくれた。
♪流れる星に 想いを乗せて
君の元まで 届かせてほしい…
♪さぁ読もう 君との夢物語を…
さぁ聞こう 君との命の音を…
聞いた事のない歌。
作ってくれたんだ、きっと。俺たちのために。
俺たちのこんな状況でも、諦めるなっていう、歌。
やけに心に届いて、少し涙が滲んでしまう。
それは、ユウトも同じだったようで、時折鼻をすすっている。
宇宙に響き渡る歌声を聞きながら、隣にいるユウトと、手を強く握り合った。
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