「…はー、久しぶりだ。泉の匂い」
「アホか…」
首元んとこに顔を寄せて深呼吸してて、くすぐったい。
匂いって何だよ、別にしねーだろうが。
「なぁ、今日は家に来るだろ…?」
「…ミーティングあるけど」
「終わってからでいいから…」
「…ろくにしてなかった分、長いと思うけど」
素直に「行く」なんて言えない俺は、いろいろ理由をつけてはぐらかしてみる。
ミーティングが長引きそうだって言うのは、本当だけど。
「それでもいいよ。もういろいろ我慢きかねー」
「いろいろって…」
最後に浜田の家に行ったのは…10日前か?
…確かに、限界かもしんないな、いろいろと。
「来るって約束して!」
「えっ! …わ、分かったよ」
「マジで!? やったー!」
「…はぁ」
体裁を保つためのため息をつきながら、やっぱり昼寝をするべきだったと後悔した。
今夜はきっと、寝不足になるだろうから。
* * *
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