* * *
…本当は、エロイ事するつもりだったんだけど。
盛大に慌ててる様を見たら、おかしくてつい笑ってしまい、気が削がれてしまった。
とは言え、目の前の獲物はうまそうな状態で寝てるわけだし…据え膳食わぬは、男の恥だよな。
「な、何するの…?」
「キスするだけだって」
「本当?」
「本当。それ以上してもいいなら、するけど」
わざとニヤついて言えば、また真っ赤になってわたわたしてる。
ははは、からかうの面白いわ。
「ま、まだ心の準備が…!」
「…うん、分かってる」
…やべ、ニヤニヤしてねーか。
『まだ心の準備が出来てない』って事は、少なからず『俺とソウイウコトをする』って想定してるって事だよな。
それが分かっただけでも、収穫だな。
「キスするだけだって。それならいいだろ?」
「…うん、それなら…」
ホッとしたように笑う沖のほっぺたを、むにむにと触る。
そのまま顔の角度を都合のいいように傾けさせて、宣言通りにキスを再開する。
沖も沖で、おずおずと俺の首に手が回ってきた。
…沖も無防備だな。
ただキスするだけで、ベッドに押し倒すわけないのに。
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