* * *
おいしそうにお茶を飲む沖が微笑ましくて、つい和んでしまう。
そう感じながらも、この柔和な表情を歪めたいと思ってしまう自分は、サドっ気があるんだろうか。
「沖…」
「ん? …あ、…」
俺が抱きしめようとしてるのに気が付いたのか、照れたように俯いた。
伸ばした腕に擦り寄るように、沖からももぞもぞしながら腕の中に納まってくる。
「…慣れて来た?」
「気絶の事は忘れてよ…」
ほのかに甘い雰囲気の中 茶化せば、拗ねたみたいに口を尖らせた。
その尖った口に 自分のを重ねようと顔を近づけると、少し戸惑いながらも目を閉じてくれる。
ふわふわの髪を撫でながら自分のを重ねれば、体が少しピクッと反応した。
もう何度したか知れないが、重なる瞬間は必ずといっていいほど反応するんだよな。
数秒後には落ち着いてくるんだけど…初めてした時のアレが抜けてなくて、癖になったんだろうか。
「……沖、好きだよ」
「…ん、俺も好き…」
ピンクの頬、ぽやんとした目。
いつもは和む所なんだけど、西広にあんな事を聞いたからだろうか。
沖が、実は俺を欲しがってるんじゃないかって。
俺の中に飼ってるケダモノが、目の前の獲物をどうにかしたいって飢えてる気がする。
「…前に、田島と西広に聞かれたことあるんだ」
「何を?」
「いつ、巣山とイチャついてるのかって」
「…現在進行形だよな」
へへへと照れたように笑って、またもぞもぞとくっついてきた。
俺の気も知らないで、安心したみたいに一息ついてる。
…あー、もうダメだ。
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