* * *
部活前。
浜田の呪い…いや、念が届いたのか、雲行きが怪しくなってきている。
とは言っても、雨が降るまでは行かなかったけどな。そう上手くは行かねーか。
「…あのー、浜田さん?」
「な〜に〜…?」
「言いにくいんスけど…あの、こんだけ並べられると…」
「ふっふっふ…」
花井が、遠慮がちに浜田の呪術行為を制止してる。
そりゃそうだ、部室の窓にこれでもか!ってくらい、逆さまのてるてる坊主が敷き詰められてるもんな。
こんなに並ぶと気味悪いわ。
「…おい、泉」
「んぁー?」
「お前から何とか言えよ。あいつ、一人で箱ティッシュ何箱使うつもりだよ」
「知らねー」
右隣にいた阿部が、俺から窘めるように言ってきたけど、それも面倒くせぇ。
飽きたらやめるだろ、たぶん。
「このままじゃ、部室がティッシュだらけになるよ…」
左隣にいた栄口が、可哀相な目で浜田を見てる。
チラッと横目で見ると、何かにとり憑かれたように一心不乱に坊主たちを吊し上げてる。何コイツ怖い。
「だああああ!!」
「うわ!」
耐えきれなくなったのか、田島が坊主たちを外そうと暴れまわる。
それに一瞬驚いた浜田だったけど、すぐに田島を取り押さえていた。
ティッシュの坊主達を守る浜田、か…
うん、シュールだな。
さ、部活すっか!(オイ!)
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