「風邪なんて珍しいよな。いつぶり?」
「寝込むのは、小学校以来だな…」

もぞっと寝返りを打って、仰向けだった体制が、俺の方を見るように横向きになった。
俺が頭を撫でやすいように、と思っての行動なのかな…と思ったら、うっかりニヤニヤしそうになる。

望んでなのか たまたまなのか分からないけど…おでこから後頭部を撫でると、目がとろんとしてきた。
相変わらず、撫でられるのが好きな猫みたいだな。

「そういえば、その時もお見舞い来たなー。俺だけじゃなかったけど」
「…お前、覚えてねーの?」

「何が?」
「お前らがお見舞いに来たせいで、全員が風邪ひいて寝込んだだろ、次の日」

「…あ! そうだった!」
「はぁ…」

そういえば、そんな事もあったなぁ。
確か3〜4人でお見舞いに来て、その夜から調子悪くなって…お見舞いに行った全員が休んじゃったんだよな。
だからお見舞い来るなって言ったのか、泉は。

「泉が寝込むぐらいだから、強力な風邪だったんだなv」
「今のも強力かもしんねーぞ。明日はお前が休む番だな」

クスクス笑いながら、何気なく布団のはしっこを掴んでる。
そのグーの形さえも可愛く見えてきて、左手で頭を撫でながら右手をそれに重ねる。
少しだけ高い体温は、俺の手に温度を移していった。
 
「明日は来れそう?」
「あぁ、行く。けど、部活は出るなって言われた」

「そりゃそうだな。昨日だって無理したんだろ?」
「無理した覚えはねーけど、花井は帰れってしつこかったな」

帰っときゃ良かった…って呟きながら、口を尖らせる。
その幼い仕草に少し笑って 頭をぽんぽんした後、立ち上がる。
あんまり長居するのも悪いから、そろそろ帰らないとな。


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