* * *


いきなり距離を縮められて、思いっきり焦ってしまう。
あわあわしてる俺とは対照的に、巣山は静かに笑ってて…余裕を感じさせる笑顔に、心臓が何度も飛び跳ねて忙しい。

そうこうしてる内に腕の中に収められてしまい、空いてる右手で左頬を撫でられた。
その仕草に少しうっとりしてると、そのまま巣山の顔が近づいてきて…!

「ちょ、ちょっと待ったぁああ!」
「えっ!」

自分で自分の声量に驚きつつ、何とか阻止する事に成功した。
巣山も、ビックリさせてゴメンね!(…)

「あの、聞きたいんだけど…」
「なに?」

「目、目は閉じた方がいい…の、かな?」
「え?」

ドラマとかでは目を閉じてるけど、実際はどのタイミングで閉じるのかとかがよく分かってない。
くっつける寸前?
それとも、少しくっついてからだっけ…?

「…じゃあ、閉じてて。俺からするから」
「そ、そう… あの、じゃあもう1個…」

「ん?」
「呼吸は、どうしたらいいのかな…?」

「えっ! んー、どっちでもいいんじゃね?」
そ、そういうの良くないよ! 決めとかないと!」

必死にキスの仕方を聞いてると、巣山が笑ってる。…いや、笑われてもいい!
だって、俺は真剣なんだから!

「じゃあ、止めてて。俺も止めるから」
「その、何秒くらい…?」

「…じゃあ、3秒くらい?」
「それなら、止めれるかな…」

これで1分とか言われたら、呼吸困難になっちゃうもんね。

えーと、あと聞く事は…!(まだあんのかよ!)





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