Case11:再捜査

+部室+


叶 「…さて、まずは情報を整理するか。とりあえず、アイツらの部室に入った順番・阿部の行動は、ほぼ間違いないはずだ」

織田「他に何か心当たりあるんか?」

叶 「阿部は、バランスを崩して後ろに引っくり返った。それは、窓からの風が原因なんじゃないかと言ったな」

織田「あぁ…」

叶 「だが、もし他の誰かが故意に阿部を転倒させたとしたら…?」

織田「えっ、マジで!?」

叶 「阿部が使ってた折りたたみ椅子は、この4つのどれかだな… ワトソン、不審な点がないか入念に調べてくれ」

織田「了解です、ホームズ!」

(5分後)

織田「か、叶! じゃなくてホームズ!

叶 「何だ、何か見つけたか!?」

織田「ここの留め具ん所見てや! 真新しい傷があるで!」

叶 「これは…自然に出来た傷ではないな。刃物で意図的に付けられてる…しかも、ネジまで緩んでるって事は…」

織田「阿部は、誰かにハメられた…?」

叶 「あぁ、阿部が椅子を使って掃除をする事を知っていた、誰かに…!」(!)

織田「…けど、誰や? アイツらが演技してるようには見えなかったで」

叶 「そうなんだよな… けど、もしかしたらアイツらも自分で知らない内にウソをついてるのかもしれない」

織田「知らない内に?」

叶 「ウソをつくつもりじゃなかったけど、『みんながそう言ってるから、俺もそうだったんだろうな』と勘違いをしていたのかもしれないって事だ」

織田「みんながそう言うって…?」

叶 「アイツら、口を揃えて言ってただろ。『この部室には、俺ら以外に誰も入っていない』って」

織田「あぁ、言うてたな」

叶 「でも、考えても見てくれ。誰がどの順番に入ったのかもあやふやなアイツらが、そんな断定できると思うか?」

織田「確かに、三橋や水谷・沖は誰がどの順番にってのは、1つも覚えてへんかったな…」

叶 「あぁ。みんなが『誰も入ってなかった』って言うから、『きっとそうだったんだ』と脳内補完したんだろう。もしかしたら、あの順番以外に、誰かがもう一度出入りしたのかもしれない。もしくは……

織田「確かに『全員が一度ずつだけ入った』なんて言うてないしなぁ…」

叶 「それと、もう1つ」

織田「何や?」

叶 「ソコの窓の事だ。俺は、掃除の換気で阿部が自分で開けたと思い込んでた。だが、よく考えれば、風はすごい強風だったワケで…」

織田「…あぁ! そんな時に窓を開けたら、ホコリが自分に向かって来て逆効果やな!」

叶 「そうだ。1番手の西広は、窓は閉まっていたと言っていたし…最初から開いていたわけじゃない。そして、窓は閉まっていても、鍵は開いていたのかもしれないしな」

織田「外側から、誰でも開けられたかもしれないって事か…」

叶 「誰が窓を開けたのか、どのタイミングで開いたのか。『窓が開いていた』と証言したのは、誰だったか…?」

織田「ええーと…」


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