●●うっとうしい…●●●
俺は、心が狭いのかもしれない。
それは、5年前から常々と感じていたことだ。
沖を好きになる前は、そんなの思ったことなかったのに。
「ごめんっ、遅れちゃったね」
「いや、いいよ」
待ち合わせ場所に遅れてきた沖を見れば、あっという間に機嫌が上昇するのが分かる。
はぁ、俺も単純だよな。
「さっき偶然、西広に会ってさぁ」
「へー、懐かしいな」
県外へと進学した俺と、県内で進学した沖。
いろいろとモメたこともあったけど、今ではこうして週末に会えることが楽しみなんだ。
世間話をしながら、たまに沖の口から出る俺以外の名前に、いちいち反応してしまう俺が、本当に鬱陶しい。
それが、例え高校時代の仲間でも同じことで。
…本当、自分の心の狭さに嫌気がさすな。
でも、どこか楽しそうに歩く沖を見れば…また機嫌は浮上していく。
今までもそうだったからな。
きっと、これからもそうなんだろう。
また5年先、10年先も。
この鬱陶しい感情も
引き連れながら。
こいつと一緒に、歩いてくとするか。
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