●●頼むから 無理はしてくれるなよ●●●


高校では俺が女房だったが、今ではすっかり準太の方が甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてくれている。

準太に言わせれば、俺はどこか抜けているらしい。
自分ではそんなつもりないのに、慎吾や山ちゃんからも言われてるってことは、きっとそうなんだろう。

「和さーん、他に洗濯物ないですか〜?」
「ん? あぁ、ないよ」

一人暮らしする俺の部屋に、準太はいつも遊びに来てくれる。そして、率先して家事をこなして…自分だって忙しいくせに、俺のことばっかりさせていいんだろうか?

「…準太、俺がやるから」
「もうスイッチ入れましたけど?」

ふふっと笑う準太は、やっぱり美人だ。
こんな綺麗な準太が俺の…だなんて、今でもまだ信じられないな。

「それに、こないだ洗剤と柔軟剤間違えてたでしょ? 柔らかくしてどうすんですか」

クスクスと笑われ、俺も笑ってしまう。
そういえば、そんなこともあったな。

「俺のばっかさせて悪いな。頼むから、無理はしてくれるなよ? 準太だって…」

そんな俺の心配なんて、どこ吹く風。
知らん振りして腕にくっついてきて甘える姿は、美人というよりも…可愛いと思う。

「和さーん、心配するヒマがあるならキスしてくださーいv」

…本当に、甘え上手だな。

可愛くて甘えん坊で。
でも、しっかり者の女房がいるだなんて、最高の贅沢者だな。


ああ、そうだ。

まずは、
ねだられたキスをしないとな。






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