●●甘い香りに酔う●●●


「ねーねー、誕生日プレゼント考えてくれた〜?」
「だからいらないってば。ケーキで充分でしょ?」

来週に控えた、栄口の20歳の誕生日。
付き合って5年目だし、20歳だし。何か特別なコトをしたいのに、何も思いつかないんだ。

栄口は 俺の悩みなんて知らないって感じで、微笑みながら洗濯物を畳んでます。でもさぁ、ケーキだけじゃ足りないよねぇ?

「え〜? んー…どうしよっかな〜…」
「バイトは休めるの?」

「え? もちろん! 希望だしたよ〜v」
「そ、良かったv」

えへへと笑う栄口は、5年経った今でも可愛いです! これだけは自信持って言えます!

「んんん〜…。あ! ねぇねぇ、香水とかってどう?」
「香水〜? 何で?」

「何でって…ほら、お揃いの香りをつけるとかってあるじゃん!」
「そうなの? てか、香水はいいよ。ガラじゃないし」

立ち上がってタンスに洗濯物をしまいつつ、ソファに座ってテレビ付けちゃった。あのー、まだ話が終わってないんですけど〜…。

「それにさーあ…」
「なに〜?」

ちょいちょいと手招きされて、隣に座ると…またエヘヘと笑って手を繋いできました! か、可愛いし…!

「水谷が付けてるのが、ちょっと移るぐらいで丁度いくない?」
「え!!」

頭をこてんと肩に乗せながら笑う栄口は、5年前よりもずっと可愛くて ドキドキする…!
照れながら握り返すと、栄口もちょっと照れたのかほんのり頬が赤くなっちゃって。

「可愛いな〜、もう…」
「はぁ? …バァーカ!」

ツン!とテレビに集中しちゃう栄口。

確かに、
栄口には香水なんて必要ないかも。


俺のを移せばいいし、

それに何より、



栄口自身、甘い香りがするもんね!



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