●●苦しいくらい●●●


織田は基本、優しい。
滅多に怒らないし、怒ったとしてもそれは俺を心配してとか、そういうのだけ。

その反対に、最近の俺はしょっちゅうイライラしてるような気がする。
織田がプロへと進もうとした時も、結構大きな喧嘩したけど…それでも、二人で選んだ道を後悔はしていない。

危惧していたのは、今のイライラの原因でもある『モテるんじゃねーの』ってこと。
ファンレターは毎日届いてるみたいだし、差し入れとかさ、そういうのも。織田はいちいち貰って来るっていうか…困ってるとは言ってるけど、断ることはしない。
別に、変に束縛したりしないつもりだけどさ。

それと対比するように、一時期ウワサになったのは、榛名さん。
テレビに向かって「ファンはありがたいけど、プレゼントはいらんので」っていうのを公言して、ちょっとしたバッシングもあったんだよな。
それもちょっとだけで、すぐに違うニュースへと移り変わったけど…織田もそれぐらい言えばいいのに。

「おだー」
「何やー?」

はぁ、呑気に新聞見てんじゃねーっつの。
何かまたイラッとして、新聞の折り目のところへ右腕をバリッと突っ込んだ。
ビリリッと音を立てて穴が開いたのを見て、織田が呆気にとられてる。ふん、ざまぁみろ!

「な、何すんねん!」

我に返って爆笑しだした織田に、つられて俺も笑ってしまう。
…あーあ、一人で悩んでるのがバカみてー。

「か〜の〜v」
「ンだよ?」

俺が不機嫌な理由も、きっとコイツにはバレてんだろう。5年前からずっと、バレっぱなしだからな。

「俺には叶だけやでv」
「はいはい、バァーカ」

「バカって言うなや〜v」
「アホって言うて〜、だろ。だからテメーはバカなんだっつの!」

そう言いながらオデコにチョップをかまし、抱きつき慣れた首へと腕を回した。


苦しいくらいに、
抱きしめてもらう為に。



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