「…いずみ?」
「…な、何だよ?」
「ちょっと、こっちに来なさいな」
「は? ……何だよ?」
渋々言うことを聞くと、下半身がトランクス状態の浜田に頭を撫でられた。
その手はやっぱり大きくて、安心する。撫でられただけで、こんなに心が軽くなるなんて。
「泉、反省してたんでしょ?」
「……ん」
「俺には分かったの。だから、もういいじゃん。ずっとムッツリするより、おいしいの食べてるとさ、笑顔になるでしょ?」
「……ん」
「それに、元々は俺が悪かったんだし… ごめんな?」
「…それは、もういいって」
頭を撫でていた手が、頬に滑り落ちてむにむにと触ってきた。
しかめっ面のままでいると、浜田はいつもこうして頬を緩ませようとしてくる。
この仕草は、もうずっと前から変わらないな。
「…ケーキは食後で、先に夕飯にしようぜ」
自分なりに少し笑顔を見せると、それ以上の明るい笑顔で頷かれた。
ケーキを冷やしておく為と、すでに作っておいたカレーを温める為に台所へ行く。
やっぱり、浜田には適わない。
いつも1歩先に行くコイツに、手を引かれてついていくぐらいが丁度いいのかもしれないな…悔しいけど!
「埋め合わせのデート、全部浜田のおごりだからな!」
「ええー!?」
**END**
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