If Story

▽ 6*


「……パパ、と……一緒」

直接的な答えではないものの、馨を悦ばせる回答だ。

「そうだね、パパと一緒がいいよね」

褒めるように抱き締めれば、花の香が鼻腔を満たした。

たっぷり注ぎ込んだはずの唾液はすでに乾き始めていた。舌では浅い部分しか解せないこともあり、馨は仕方なくいつも通りのジェルを手早く奥深くまで塗り込んでやる。

「……あぁぁっ!あっ、あっ……」

朝抱いたおかげでそれほど圧迫感はなかったが、それでも馨の昂りを受け入れるにはまだ狭い。こじあけるように腰を進めると、葵は苦しそうに喘いだ。

葵を痛めつけたいわけではない。それでも葵の中をみっちりと満たしているのが自分であると実感できて、馨の心は落ち着いてく。

「あっ、く……んんーーっ!」

馨に揺さぶられ、呼吸さえままならない状態の葵の姿も堪らない。手を重ね、突き上げるたびにより一層深くまで侵食していった。

「葵、ずっと一緒だよ。パパから離れるなんて許さないからね」

先ほどのやりとりの続きのように馨は囁く。

柾に取り上げられたものは数え切れないほどある。でも葵だけは絶対に手放しはしない。葵は訳も分からず、泣きながら頷くけれど、馨が強いる願いの重さを分かってはいないだろう。

「……おかしいな。優しくしてあげるつもりだったのに」

何度か絶頂を迎えさせると、葵の体はソファへと崩れ落ちてしまった。濃いグリーンの布を汚すのは葵が放ったものだけでない。呼吸と共にとろとろと双丘の狭間から伝い落ちるものは、馨が吐き出した欲望の証。

今朝の反省をしたつもりが、また似たようなことをしでかしてしまった。二人の関係に立ち入ろうとする柾の存在は、馨の自覚以上にストレスになっているらしい。

時折激しく愛情をぶつけることはあったけれど、こんな頻度では起こり得なかった。日本に戻ってきてからの変化だ。

ホテルでの一件もそう。このままでは大事にしてきた葵を壊しかねない。

「柾も消してしまおうか」

彼が衰弱するのを待つつもりでいたけれど、ついそんなことを漏らしたくもなる。

「“ママ”みたいに、ね」

ぐったりと脱力する葵を抱き締め、馨は昔排除した存在を口にした。啜り泣きのような寝息を立てる葵は、すでに深い夢の中にいるらしい。

親が子を思い通りに操ろうとする点では、馨は心底憎んでいる柾と似たようなものなのかもしれない。時折そんな考えが頭を過ぎる。

でも決定的に違うのは、馨が葵を何よりも愛しているということ。だから許せとまでは言わないが、せめて馨と居ることが幸せなのだと葵に信じ込ませてやる。それが馨なりの責任の取り方だった。

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