▽ 5*
「……アッ……んっ」
甘く香る周囲の皮膚を舐めるだけで、そこは馨を呼ぶようにひくついてみせた。じわじわと濡れた舌を中心に向かわせれば、これから訪れる刺激に構えるように葵のつま先にピンと力が入るのが分かる。
「んんっ……はぁ」
散々縁を湿らせた後舌を潜り込ませると、その質量と熱だけで葵は背筋を震わせた。
円を描くように浅い部分をぐるりとなぞり、そして中の粘膜を広げていく。ジェルを使って馴らすことが増えたけれど、こうして直接解してやる工程も馨はもちろん気に入っていた。
「葵、気持ちいい?」
「っ、ん……ん」
ただでさえ感じやすい場所は濡れそぼって余計に敏感になっている。そこで喋られたらたまらないのだろう。葵は腰を揺らしながらも、馨の問い掛けに答えた。
「そう、じゃあもっと奥まで舐めてあげようか」
体を反転するよう命じれば、葵は素直に従った。
降り始めた雨のおかげで窓の外は暗いけれど、まだ夕方と呼ぶには早い時間帯。そしてここは寝室ではなく、普段馨が仕事をしている書斎。
葵は体勢を変える時に視界に入れた周囲の光景でその事実を思い出したのかもしれない。火照る顔を隠すようにソファのベルベット地に伏せてしまった。いつもならその行動を咎めるが、今は見逃してやる。
「あっ、あっ……」
柔らかな肉を左右に大きく開いて、もう一度舌を潜り込ませる。さっきとは違う角度で差し込まれる舌に、葵は声を上擦らせた。
奥へ奥へと唾液を送り込むと、次第に紅い粘膜がぐじゅぐじゅに溶け始めてくる。ジェルで蕩けさせるのもいいが、こうして丹念に濡らしてやるのもいい。
「あっ、ん……んっ!」
舌の抜き差し自体は大分スムーズに行えるようになったが、それでも長さには限界がある。葵の嬌声にもどかしさが滲んでくるようになった。
「あぁ、ここも可愛がってあげないと。寂しかったね」
指や、もっと大きなもので貫いてほしがる蕾を無視した馨は体を起こして、まだ手を付けていなかった胸元へと手を這い上がらせた。
「……ぁぁっ!あっ、ん……」
控えめに主張していた尖りを指で突き、そして摘んでやると、不意の刺激に葵の背が大きく仰け反る。
それを宥めるため、馨は上体を起こして葵を背中から抱えるように姿勢を変えた。
しこる粒を捏ねながら、骨の浮くうなじや背筋に口付けていく。時折爪で弾いてやると葵からは鼻にかかったような甘い声が漏れた。
「葵、どっちでイきたい?柾の相手を頑張ったご褒美に、選ばせてあげる」
キュッと胸を摘んでから、その手を先ほど中途半端に暴いた蕾に這わす。そして最後に唇をなぞったのは言葉で答えろという意味。
普段は選択を求めることはないが、今は違う。葵も喋らされる意味を理解し、数度唇をわななかせると、望み通りの答えを発した。
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