世界の果て この世界のことはもう、誰も知らない。 もう、私しか知らない。 むしろ、私だけで十分だ。 何しろここは残酷すぎる。 視線を下に向けると、もはや原型を留めていない骸が転がっている。 視線を上に向けると、黒い太陽と壊れた月が相対して浮かんでいる。 こんな世界みんな捨てるに決まってる。 捨てない方がおかしい。 ―――何時のことだっただろうか。 この世界が神秘的で欠伸が出るほどの平和だったのは。 ははっ なんてことを。 こんなことを考えるのはもう止めようと思考を停止していたのに。 それもこれも全部、目の前にいる、 “ ”のせいだ。 back |