short story | ナノ


▽ 天才くん



あ、どぉも〜!
天才くんです☆

ふはっ
自分で天才とか言っちゃったよ。
いやぁ〜参っちゃうね。
あ、でも、ホントのことなんで。

勉強なんて、
教科書見れば授業受ける必要ないし、
テストだって、
欠伸が出るほど簡単な問題ばっかり。


はーぁ・・・ つまんない。
もっと、なんか、こう、
ないのかね?
未知との遭遇みたいなヤツ。
そんなイベント。

やることなすこと全てにおいて、
先が見えるんじゃ、
あまりにも退屈すぎる。



こんな世界を壊してくれよ。



でも、最近気になる出来事があってね。
すごく僕にとって魅力的なんだ。

隣のクラスの女の子。
あの子はすごく分からない。
僕には理解ができない存在だ。

いつも学年順位が僕の1つ下。
つまりは2位の子。

この間、気になって話しかけたんだ。
「ねぇ、いつもどんな勉強をしているの」
って。

だって、気になるじゃないか。
僕は勉強知らずなんだからさ。
どんな勉強をして、
どのくらいやれば2位になれるのかって。

不躾な質問だと知ってはいたけど、
気になったんだから、しょうがない。


「・・・ッチ」


あっれぇー?
快く答えてくれると思っていたけど、
違うみたいだ。

「ハァ?誰があんたなんかに教えるか」
「つーか、あんたが一番知ってるでしょうが」
「・・・あぁ、知らないから聞いてきたんだよね?」
「くっそ羨ましいわ。勉強しないでその点数」
「ねぇ?学年1位の天才くん?」

・・・わぁーお
すごい言われようだね、僕。
早口でまくし立てられたよ。

「あんたみたいな、努力知らずが一番嫌いなの」
「100点とって当たり前、みたいなさ」
「そう、その顔。吐き気がする」

吐き気がする、って言われても。
そんなの分かりっこない。
努力も、彼女の気持ちも。
そんな言葉、僕とは無縁だったんだから。


あぁ、僕に分からないことがあるなんて。
不愉快で、胸糞が悪くて、イライラする。


もう、何なんだよ。
怒るなよ。
お願いだから教えてくれよ。





〈無知は大っ嫌いなんだ。〉







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