short story | ナノ


▽ ブルーローズ



小さかった時から二人を見てきた。

あ、いや
不審者じゃないからね。
見守ってきた、の方が
いいかもしれない。

二人はすぐそこの公園で、
よく遊んでいた。
いつしかそんな二人を見て
勝手に和んだりしていた。

でも、
最近見なくなったと感じて。

ふと気づいたら、
二人は成長していて、
でも、どことなく
悲しそうだった。


半年前から、
また二人を
公園で見かけるようになった。

半年前から、
女の子が
公園で泣いていて。

半年前から、
男の子が
公園で笑わなくなった。


ずっと、ずっと、
心配していたんだ。

声をかけたくても、
かけれなかったんだ。


でもね、


二週間前に、
男の子が
この店にお花を買いに来て。

一週間前に、
女の子が
この店にお花を買いに来て。


その時の二人は、
とても嬉しそうに、
お花を選んでいたから、
あぁ、もう大丈夫なんだって
思ったんだ。

僕が、
プレゼント用ですか?
って聞くと
二人とも
元気に はい って
答えてくれた。

二週間前に、
男の子が買っていった
アイリスの花。

一週間前に、
女の子が買っていった
ゼラニウムの花。

二人とも
少し恥ずかしそうだったから
きっと
意味を知っていたんじゃないかって
僕は思うんだ。


今度公園で、
二人を見かけたら
僕はこの花を贈ろうと思う。

一番最初に、
二人を見た時から
頑張っていたんだよ?

やっと成功したんだ。
やっと二人に渡せる。



受け取ってくれるといいな・・・



―――この青いバラを。










あ、いたいた!
おーい!二人とも!!
 ん?
  店長さん?
今日は僕から
二人にプレゼント!
 え・・・?
  やったぁ!
はい、どーぞ
 ・・・
  うわぁ・・・!




 なぁ、店長さん。
なんだい?
 これ、わざとじゃないよね?
僕はお花屋さんだよ?
 ・・・はぁ。
 かなわないな。





〈神の祝福〉








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