Happy Birthday Levi 25/12/2019
24 オーロラ色の恋みたく
しんしんと雪が降っている。窓に手を触れると、すぐに手が冷たくなった。それほど外の温度は低く、部屋の温度も高くはないことを物語っている。大雪ではないため、ベッドから降り、朝の支度をする。わたしが布団から出たため、冷気が入り寒くなったのかゆっくりと上ってくる頭。「おはよう」と声を掛けると、しかめっ面をしながら頷く彼。彼の視線はわたしから窓に移動し、ぼうっと外を眺めている。基本的に、無駄な時間を作らない彼が、何もせず窓を見つめているのは珍しいことだった。そんなリヴァイをよそに、わたしは自分の支度を黙々と行ってく。ポットに電源を入れ、2人分のコップを取り出す。暖房の電源を付け、朝ご飯の準備に移る。朝は特に食べる意欲がないため、グラノーラで済ますことが多い。それはリヴァイもだ。適当な量を器に入れていく。冷蔵庫から牛乳を出し、1つの器には少量の牛乳を。もう1つにはヒタヒタと浸かるぐらいまで。リヴァイはあまり多くの牛乳で浸っているグラノーラは好まない。サクサクと食べられるのがいいのだとか。わたしはこだわりがないので、いつも目分量でしている。
「なまえ、お前今日何で出勤するんだ?」
準備をしていたため気が付かなかったが、寝間着のままのリヴァイがソファに座っていた。再び「おはよう」と言うと「ああ」と返事が返ってくる。
「雪降ってるけど、大雪って程でもないからいつも通り電車で行くよ」
「風邪引くぞ」
「免疫力強いから大丈夫」
「そうじゃねえだろ」
リヴァイはため息をつき、キッチンへ寄ってくる。彼には紅茶を自分で煎れるルールがあるため、コップを渡すと色々ある茶葉の中から、最近お気に召している茶葉を手に取った。コップとソーサーを持ちながら、もう一度ソファに座り、テレビを付けた。わたしもその後を追うように、自分のコップと2人分の器を机の上に置く。
「夕方から酷いみてえだな」
「え?雪が?」
「それしかねえだろ。朝はいいが、帰る頃は電車停まってるかもな」
「うーん……でもなあ。タクシーは高く付くし、道が混んでたら遅刻しちゃうかもしれないし」
「……ここまで言わなきゃ分かんねえのか?」
「んー?」
リヴァイの顔を見ると、おでこに衝撃が走った。結構いい音がしたのと同時に、わたしの頭には激痛を襲う。「なにすんの?!」と叩かれた場所を摩っていると片口を上げ笑っている。
「リヴァイの意地悪っ」
彼と反対方向を向くと、肩をトントンと触られたがそれを無視し続けていたら、首根っこを思い切り引っ張られる。「うぐっ」と変な声が出たが、そんなことも関係なしに、わたしの体はリヴァイの膝上に乗る形になってしまった。
「随分と大胆だな。なあなまえよ」
「くっ、これは、リヴァイが引っ張ったから、」
彼の整った顔を睨むように見つめると、先ほどと同じように笑う。それが気に食わなかったので、下から顎を掴もうとするも簡単に避けられてしまった。じたばた動くわたしを腕で押さえ込むリヴァイ。それでも反抗し続けようとするも、彼の腕力には勝てず大人しく待っていると、朝から何をしているんだ、と正気に戻り、リヴァイの顔をジッと見つめる。すると優しい顔をし、頭をふんわりと撫でられる。その顔は反則だ。恥ずかしくなり、顔を手で覆うと「どうした?」と全て分かっているような口調で問いかけてくる。
「分かってるくせにー!ずるい!リヴァイはずるい!」
「ハッ、朝から元気だなお前は」
「もうっ、支度しなきゃいけないから離して!」
「嫌だと言ったら?」
「へ?」
「なまえとまだ朝を楽しみたいと言ったら、お前はどう出る?」
「……またずるい、」
顔を覆った手を掬い取り、横へ引っ張り上げる。リヴァイの綺麗な瞳には、赤面している自分が映っていて、今すぐここから離れたかった。口を開け、名前を呼ぼうとすると顔がゆっくりと顔が近付いてきたため、それを受け入れるよう目を瞑る。頬に柔らかい感触がし、そのまま離れていったので、目を開けると起き上がれ、と指示されたため体を起こすと腰を引き寄せられ、耳元にキスをするリヴァイ。
「ぅ、耳、やだ、」
「好きなんだろ?そんな声出すほどな」
「ちが、ぅ」
「どうだかな」
次に膝の上に乗れと言われたので、その通りにすると何故か笑い出すリヴァイ。なにがおかしいのか。膝の上に座ると首元に腕が回ってくる。先ほど叩かれたおでこを、ピッタリとくっつける。わたしから彼の口元にキスをすると、満足そうな顔をした後、唇が触れ合う。浅いキスかと思いきや、舌が咥内に入りどんどんと深いキスへ移っていく。落ちないよう、わたしも彼の首元に腕を回し、しっかりとしがみつく。
「なまえもノリノリだな」
「、リヴァイが余裕なだけだもん」
「俺もお前のことでいっぱいだぞ。なあなまえ」
「なに?」
「今日は休むか。外、見てみろ」
彼が言うように外を見ると、起床の時とは大きく変わった吹雪が吹いている。状態は崩さず、肩に頭を預けると髪束にキスをしていくリヴァイ。
「ねえ、分かってたの?こうなること」
「さあな。ただ、なまえも俺との朝を大事にしたいことは分かってたけどな」
「……それには黙秘します」
そう言うと、また彼は笑う。膝の上から降りると「何処行くんだ?」と空いていた手を握りしめられる。指で窓を指すと、彼もソファから立ち上がり手を繋ぎながら一緒に外の風景を眺める。
「……雪って綺麗だよね」
「雪のせいで迷惑してる奴のほうが多いぞ」
「まあ、それはそうだけど。ね、リヴァイ?」
「なんだ?」
「わたし単純だから、今こうやってる時間がすごく幸せ。雪っていつでも見られるものじゃないし。なんか、オーロラの景色みたい」
「それは言い過ぎだろ。オーロラはこんなもんじゃねえよ」
「分かってるって。でも、リヴァイと一緒に見てるこの景色がわたしにとってのオーロラでいいの」
「……なまえは想像力豊かだな」
握っていた手に力を込めると、強く握り返される。こんなに贅沢で有意義な時間は今までなかった。横目で彼の顔を覗き見ると、いつもとは違う優しい表情をしていた。
「いつか見たいな。本物のオーロラの景色」
「ああ。なまえ、お前とな」
「もちろん!」
笑顔で返事をすると、再び唇が触れ合う。リップ音が部屋に響き、少し恥ずかしかったが、たまには息抜きも大事だ。リヴァイに抱き付くと「こんな景色で満足するなよ」と優しい声で頭を撫でる。愛しい人と過ごす幸せな時間。目の前に映るものは全てキラキラとしている。これもきっと、リヴァイの隣だから。時間が経つほど彼に恋をしていく。この気持ち、彼にも解るようわたしなりにとびきりの愛を伝える。恋心は何年経っても変わらない。
「一生大好きよ、リヴァイ」
「ああ。俺はなまえのことを愛してるけどな」
2人で笑い合い、その後互いの愛を確かめ合った。こんな日々が一生続くよう、外の風景を見つめながら強く祈る。止まらない恋。全てリヴァイと共に過ごしていけるように――――
--fin--
執筆者さんに応援
コメント
を送る。
コメント数:0
「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -