Happy Birthday Levi 25/12/2019
09 イエスとノー、どちらでもなく
※作品中にリヴァイ兵長が鬼畜・道具使用などの18禁描写があります
ハンジさんがちょっと変態扱いなど
いろいろと問題がありますので、ご注意ください
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ハンジさんの悪戯なひと言から
何で こんなことになったのだろう
ブブブッと断続的に続く刺激に
自由にならない体では 唇を噛んで耐え忍ぶしかなかった
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コンコンッとドアを叩き、返事がある前にドアノブをひねった
いつもは「ノックの意味がねぇ。」と、文句が飛んでくるのだが
キョロキョロと部屋を窺ってみてもリヴァイの姿はなかった
代わりに補佐官のなまえが
「ハンジさんリヴァイ兵長に用事ですか?
さっきエルヴィン団長と話があるって出ていきましたよ。」と答えてくれた
「それはちょうど良かった。リヴァイに書類もあるんだけど
なまえに渡したいものがあったんだ。」
手に持っていた数枚の紙切れと紙袋を掲げて見せた
「この間の話は解決したのかい?」
と聞けば情けない程、顔をこわばらせた
聞かなくても答えは一目瞭然だ
「どうせリヴァイはすぐ帰ってこないよ。
こっちにおいでよ。ゆっくり話を聞いてあげるから。」と、ソファに招いた
なまえは泣きそうな顔をしながら「ハンジさーんっ!」と抱き着いてきた
「私リヴァイ兵長に嫌われたんです。」と相談を受けたのは数日前
あのリヴァイに限ってそれはないだろう
その時は「気のせいじゃないの?」と
軽く流したのだけれど まだ続いていたとは意外だ
「リヴァイ兵長が触れてくれないんです!!」
「あー…、それはエッチしてないってこと?」
「んなっ!ち、違います!いや、違くはないですけど…。
そういう意味じゃなくてっ。凄く素っ気なくて、指一本触れてくれないんです。
リヴァイ兵長ってああ見えて、スキンシップが多いじゃないですか。
笑顔もよく見せてくれるし。」
「ごめん、それなまえ限定だと思うよ。」
なまえが余りにも当然のように言うので、間髪入れずに否定した
「そうですか?おはようって肩叩いてくれたり
よく出来たなって笑顔で頭撫でてくれたり。凄く優しいんですよ。
この前なんて、王都に付いていったことがあったんです。
仕事も終わって兵長が街を案内してくれたんですけど。」
────
「あ!あそこのお店に入ってもいいですか?」
私が指差したのは、王都に来たことがない私でも知っている有名な菓子店だ
一瞬兵長が渋った顔を見せた気がした
兵長みたいな男の人には入りづらい店かもしれない
でも、今回此処に来るのを楽しみにして
実は貯めた給金もしっかり持ってきたのだ
次に王都にくるチャンスはいつになるかわからない
無言で見つめていると根負けしたのは兵長の方だった
中はところ狭しと色とりどりのお菓子が並んでいて
甘い香りに満たされていた
あぁ、眺めているだけで幸せだ
ワクワクしながら、私でも買えそうなものを探していると
深い藍色の小さな缶が目に留まった
金の模様が書かれていてとても上品だ
中には紅茶のクッキーが入っているらしい
ふと値札を見て、ぎょっとして棚に戻した
とても買える値段じゃない
結局、小さな袋詰めにされたクッキーを選びレジまで行こうとすると
兵長にそれを取り上げられ、お前は外に出ていろと言ってすたすたと行ってしまった
兵長が代わりに買う気だと察し、慌てて後を追うと
お店のおばさんに親しげに話しかけられていた
顔見知りだろうか
私に気づいたおばさんは、ぱぁっと顔を輝かせた
「あら、もしかして彼女がいつも買っていってあげてる子かい?
兵長さんには王都に来る度にここで買っていってもらってるんだよ!」
ニコニコするおばさんに、ぽかんとしてしまった
確かに兵長が王都に用事がある度に
お菓子は貰っていたけど それはいつも「貰い物だ」と言って渡されていた
リヴァイ兵長を見るとばつが悪そうにして
今度こそ店から追い出されてしまった
店の外で待っていると、ぶっきらぼうに買い物袋を渡されたが
それが兵長の照れ隠しだとわかっている私にはくすぐったかった
────
「私が気を使わないように貰い物だって言って
買ってきてくれてたんですよ!凄い優しいですよね!」
興奮気味に言うなまえに「そうだねー。」と適当に相槌を打った
リヴァイ、とうとうなまえにばれたんだ…
王都に一緒に行く機会の多い幹部連中には有名な話である
「しかも、袋の中身を見たら私が選んだクッキーと
高くて買えなかった缶が入ってたんですよー!
ほら、あそこにあるんです。」
と、なまえが指さしたほうを見れば もう中身は食べ終わったようで
なまえ専用の机の上に、ペン立てとして使われているそれがあった
「あれ、なんの話でしたっけ?」
リヴァイの事になると、なまえは止まらない
話が逸れていることにやっと気づいたらしい
うん、君がリヴァイの事大好きだってことはよく分かったよ
「あぁ、そうそう。シキンシップの多い兵長が全然なんです。
結構甘えたなところもある人なのに。」
…え、ちょっと待って。
聞き捨てならない単語が聞こえたけど
え、甘えた?あのリヴァイが?
────
「そろそろ休憩にするか。」
リヴァイ兵長のその言葉は ティータイムの始まりだ
紅茶を淹れて来ようと席を立った私に
「いや、紅茶はいい。」と
ソファに座った兵長が自分の隣をポンポンッと叩いた
3人掛けのそれに兵長は真ん中に座り そのすぐ右隣り
妙な座り位置だなとは思ったけど
特に断る理由もないので大人しく言われたとおりに座ると
「ボスッ」と、膝に重みを感じた
見れば 膝に兵長の頭
えぇっ?!とワタワタしていると「寝る。」と一言言って
私の膝に頭を預け 目を閉じてしまった
なんだか気恥ずかしくてドキドキしてしまったけど
いつも見上げている兵長の 艶やかな黒髪が目の前にある
そっと触ってみれば さらりと指から髪がこぼれた
き、気持ちいいっ!
兵長がなにも言わないのをいいことに
そのあとも兵長の髪をなで続けた
コンコンッという音にビクッと体が震えた
どうやらウトウトしていたようだ
兵長は寝ているのだろうか
それともさっきの振動で起きてしまっただろうか
そう思い兵長の顔を覗こうとしたら
再度したノックの音に
「チッ。」と兵長の舌打ちが聞こえた
ノックの後に「リヴァイいないのか?」と声がした
その声はエルヴィン団長だ
流石にエルヴィン団長に居留守は良くないんじゃないかと
オロオロしてしまったが 兵長は一向に動く気配はない
「開けるぞ。」と一言断りを入れてから姿をみせたエルヴィン団長は固まっていた
いないと思っていたリヴァイ兵長が
補佐官に膝枕をさせソファに横になっているのだから当然だ
団長の様子に、急な用ではないと悟ったのだろう
「見てわかんねぇのか、今は休憩中だ。」
と、リヴァイ兵長は横になったままエルヴィン団長をじろりと睨んだ
慌てる私をよそに、エルヴィン団長は気にする風もなく
「あぁ、すまない。他に行くついでにこの書類を持ってきたんだが。」
と書類をみせたので、思わず立ち上がろうとする私を「そのままでいい。」と押しとどめた
エルヴィン団長は、ソファの前のローテーブルに書類を置くと
「たまには自分で来るものだな。お陰で珍しいものが見れた。」
と笑顔で去っていった
────
「もうホントにあの時は、どうしていいか分かりませんでした。」
話していて感情まで思い出したのか「ふぅっ。」となまえがため息をついた
ってリヴァイ、あんた何やってんの?!
古い友人の知られざる一面である
余り知りたくなかったそれに乾いた返事しかできない
そこまでされて なまえの中に「付き合っている」って発想はない
はっきり言わないリヴァイにも原因はあるだろうけど
兵団内ではこの2人は「恋人」認定だ
そもそも悩み相談ではなかったか
これはもう のろけだ
だんだん聞いてて馬鹿らしくなってきた
ここまで思い悩んでいるんだから、リヴァイに一言言うとして
「まぁ、リヴァイも一応人間だから そういう時もあるよ。
なまえを嫌うなんてあり得ないから、ほっとけば元に戻るんじゃない?」
現になまえが去年クリスマスに贈ったという黒い革のブレスレットは
肌身離さず リヴァイの手首にされたままだ
まだ気弱な顔をしているなまえに
「エロい下着でも着たら、喜んで襲ってくるんじゃない?」と、からかった
何か思い当たることがあったのだろう
ボンッと火が出そうなくらい顔を真っ赤にした
素直で、可愛い
そんなところもリヴァイのお気に入りだろう
そんな反応をされたら ますますからかいたくなる
「マンネリ化してるんじゃないの?貴方たち結構長いでしょ?」
以前リヴァイの部屋の前で、朝帰りのなまえと出くわしたことがある
まだ補佐官ではなかったから 結構前の話だ
「やっぱり刺激もないとね!」と紙袋を渡した
不思議そうに中身を取り出したなまえが、慌ててローテーブルの上にそれを放り投げた
「な、なんですか、これ?!!」
ローテーブルに転がっているそれ
パッケージの箱にピンク色の「あるもの」を模したイラストがプリントされている
所謂「大人のおもちゃ」である
「な、な、セクハラですよ、ハンジさん!!」
真っ赤な顔で睨まれてもちっとも怖くない
「いやいやいや。女の子だって恥ずかしがらなくていいんだって。」
まぁ、恥ずかしいなら自分で楽しむのも有りかなー。って言ったら
余りの動揺に口をパクパクしている
あぁ、ダメだ 凄く楽しい
────
「したことない?じゃぁエロい気分になるの手伝ってあげようか?」
思いもよらない展開にどうしていいか分からない
「わぁ、なまえ思ったより大きいんだね!柔らかくて気持ちいい。」
と服の上から胸を揉まれた
「あ、あのハンジさんっ!」と声を上げたのと同時
「何やってんだ、お前ら。」とリヴァイ兵長の声がした
ドアの音なんて全然気が付かなかった!!
「お帰り、リヴァイー!なまえが欲求不満なんだって。
可愛がってあげなきゃだめだよー。」
と、手をやわやわと動かしたままハンジさんはとんでもない事を言った
「ち、ちがっ!!ハンジさん何言って…!!」
あたふたする私をよそに
「俺は仕事で忙しい。ハンジ、てめぇが相手してやれ。」
と、リヴァイ兵長の冷たい声がした
余りのことに呆然としてしまったが
「え、いいの?」とハンジさんは楽しそうに言った
服の下に手を入れて直に触ろうとするハンジさんに
流石に止めようとすると、耳元でハンジさんが囁いた
「ほら、リヴァイが見てるよ?エロい顔して誘わないと。」
見れば、リヴァイ兵長は自分の机に頬杖をついてこちらを見ていた
兵長にじっと見られていると思うと、なんだかおかしな気分になってくる
まるで兵長に触られているかのようだ
「んっ。」と、つい甘い声がこぼれ
「うわ、えっろ…。」とハンジさんが呟いた
羞恥でどうにかなってしまいそうだ
その時兵長が ふとドアの方を見やり
「おい、クソメガネ。お前仕事はいいのか?」と聞いた
ハンジさんも何かに気づいたようで
「残念。お迎えが来ちゃったみたい。」と手をどけてくれた
程なくして、ドアをノックする音が響いた
────
「モブリットです。」
ドアを開けるとお目当ての人物は やはりここにいた
「リヴァイ兵長に書類を持っていくだけだったのに
いつまでかかっているんですか。あなたがいないと仕事になりません。」
そういって、ハンジさんを連れ出した
興奮した様子のハンジさんと、潤んだ瞳に上気した頬のなまえ
机の上にはまだ渡していなかった書類と如何わしいものが転がっていた
リヴァイ兵長の只ならぬ雰囲気に
これは見なかったことにした方が賢明だと すぐに記憶から消去した
隣で「危うく新たな扉を開くところだったよ。」
と呟くハンジさんも 深く追求しないほうがいいだろう
これ以上の厄介ごとは身がもたない
────
ハンジさんたちが部屋を出ていくと 兵長は静かに立ち上がった
はしたない声を上げて、これじゃ本当に欲求不満みたいだ
呆れられてしまっただろうか
無言の兵長が恐ろしい
身を固くしていると、ローテーブルに置き去りにされた箱をつまみ上げた
「はっ。こんなものまで用意して。」と吐き捨てるように言うと
私の腕を掴み強引に立ち上がらせた
引き摺るように続き部屋にある仮眠室の狭いベッドへ私を放り投げた
「へ、兵長…。」
振り絞るように声を出したが、反応はない
こんなに怖い兵長は初めてだ
私に無言で馬乗りになると、いきなり下着ごとパンツを剥ぎ取った
や、やだ。と抵抗してもリヴァイ兵長に敵うわけもなく
あっさり兵長の前に秘部を晒した
「おいおい、濡れてるじゃねぇか。ハンジにも感じたか?
じゃあ、これも楽しめるんじゃねぇか?」
兵長が手にしているものに 言葉を失った
「やっ!兵長、やめてくださいっ!」
ジタバタと暴れる私をうつ伏せに押さえつけると
さっきはずしたベルトで手首を固定されてしまった
秘部に冷たい感触が押し付けられる
ゆっくりと侵入してくるそれの圧迫感に顔を歪めた
「や、やだ…!兵長抜いてください!」
懇願するも、兵長は止めてはくれない
「ほら、全部入ったぞ。」と言うとブーンッと電子音がなった
「ひゃあぁぁっ!」初めての感覚に戸惑いの声をあげた
「気に入ったか?精々楽しむんだな。」と兵長は冷酷に笑い
俺は仕事が残っているからと扉を閉めて出ていった
パタンとドアが閉まる音も聞こえたから
本当に執務室から出ていってしまったようだ
「う、うそ…。」
どうにかしようと もがいてみても後ろ手に縛られているのでどうにも出来ない
ただただ唇を噛んで耐え続けるしかなかった
どのくらいたっただろうか
酷く長く感じたが、実際は数分だろうか
カチャリとドアが開く気配がした
やっとリヴァイ兵長が戻ってきてくれたと安堵したのも束の間
話し声がした
何を話しているか聞き取れないがこの声はエルヴィン団長だ
嫌な汗が流れる
決して声を洩らすまいと 唇を痛いほど噛み締めた
────
先程リヴァイから渡された書類が1枚足りない
リヴァイの執務室に向かうと 腕組をして壁に背を預けている姿を見つけ声を掛けた
「…ああ、すまない。多分机の上だ。」
リヴァイは部屋に入り、机の上に置きっぱなしだったそれを持って足早に戻ってきた
部屋を見るといつもいるはずのなまえがいない
「なまえはいないのか?」と何気なく尋ねると
「なまえに何か用か?」と不機嫌そうだ
ただ菓子を渡そうと思っただけだ。というと
「あぁっ?!」と今度は噛みつかれそうなくらいギロリと睨まれた
「私のは正真正銘、貰い物だ。」と胸ポケットから小さな菓子を取り出すと
「お前もか、エルヴィン。」とため息をついた
リヴァイの独占欲は相変わらずだ
それにしても俺の他にもいるのか
まぁ、分からなくもないが そんな命知らずはハンジくらいだろう
あのリヴァイがご執心のなまえだ
少し興味があり、以前なまえが執務室を訪れたときに
気まぐれに菓子をやったことがある
子供のように瞳をキラキラさせ
口いっぱいに頬張り、もごもごさせている様は
まるで小動物のようで 愛くるしい
リヴァイが癖になるのも頷ける
「あいつに餌付けするな。」とリヴァイは渋々それを受け取った
今日はかなり虫の居所が悪いらしい
先程から帰れと言わんばかりに、部屋の入口に立ちふさがり
私を部屋へ入れようとはしない
そろそろ本当に噛みつかれる前に 退散するとしよう
────
直ぐにエルヴィン団長は部屋を出て行ったようで
仮眠室の扉が開き、リヴァイ兵長が姿をみせた
「リ、リヴァイ兵長…。」とすがるように見つめたが
無言で ずるりと秘部から引き抜かれたそれ
「おい、すげぇことになってるぞ。エルヴィンが隣にいて興奮したか?」
と蔑むように言われ 兵長の冷たい瞳に息をのんだ
あぁ、本当に嫌われてしまったのだと
リヴァイ兵長との関係もこれで終わるのだと悟った
なら、もういいじゃないか
どれだけ重い女に思われようが うざがられようが
兵長にどう思われようと もう関係ない
そう思うと私は叫んでいた
「そんなわけないじゃないですかっ!私が好きなのはリヴァイ兵長なんです!
ハンジさんの時は兵長が見てたから!
こんなおもちゃなんて嫌です。私が触れてほしいと思う人は兵長だけなんですっ!!」
押し殺していた感情が涙になって
ボロボロ溢れだしたが もう止まらなかった
────
なまえに泣きながら好きだと言われ
ガツンと殴られた気分だった
俺は一体何をしているんだ
溢れる涙を拭ってやり、拘束していたベルトを解いてやった
手首が赤くなってしまっていた
悪いと言って抱き締めてあやすように頭を撫でた
「つい俺じゃなくてもいいのかと、ガキみてぇに嫉妬した。」
そう言うと、泣いていたなまえが顔をあげた
驚きに涙も止まっていた
「兵長でも嫉妬するんですか?」なんて聞くから
そりゃ好きな女にはするだろ。と言ったら
「え、兵長私のこと好きなんですか…?」なんて、パチパチと何度も瞬きをした
まだ瞳に溜まっていた涙が ぽろりと零れた
「態度で表していたつもりだったんだが…。お前には足りなかったようだな。
すまなかった。体調が良くねぇのに大丈夫か?」
と聞くと不思議そうな顔をされた
以前、ペトラが顔色の優れないなまえを心配して 大丈夫かと聞いたことがあった
寝不足だと答えたなまえに 最近忙しいもんねと気遣ったペトラに
気まずそうに笑ってごまかしていた
そりゃ、俺がしょっちゅう寝かせてくれないとは言えないだろう
その後なまえはふらついて階段から落ちた
幸い2,3段踏み外しただけでたいした怪我はなかったが
暫くなまえを抱くのはやめようと思うには充分な理由だ
「た、確かに寝不足でしたけど…。階段から落ちたのは
ふらついたわけではなくよそ見をしてて、ですね…。」
言いづらそうにしているなまえに「なに見ていたんだ?」と問えば
うっ。と口ごもった後に「外で訓練していたリヴァイ兵長です。」なんて言いやがる
結局は全部俺の勘違いだったわけだ
はぁーっと深いため息を吐いた
再度、「本当にすまなかった。」と謝れば
「最近素っ気なくて寂しかったです。
それに、エルヴィン団長を連れてくるなんて酷いです。」と
拗ねたような口調で言われ、その様子に少々安堵する
「悪かった。少しでも触れれば我慢できなくなっちまうからな。
エルヴィンは、ちょっと冷静になろうと廊下にいたら出くわしちまってな…。
何か欲しいものでも、してほしいことでもあるか。
それで許されるとは思っちゃいねぇが、俺の気がすまない。」
何でもいい
高価な指輪を贈ろうか
王都に出向いて貴族御用達の店で食事してもいい
何ならルキお気に入りの菓子店を 店ごと買い占めてやってもいい
お前が望むものはなんだってくれてやる
暫く視線をさ迷わせていたなまえが
意を決したように俺を見つめ おずおずと口にした
「私をリヴァイ兵長の特別にしてくれますか?」
どうしてこいつは こんなにも俺の心を揺さぶるのだろう
「特別」
そんなもの
イエスとノー、どちらでもなく──
「もうとっくになっちまってるものをねだられても、今更やれねぇな。
俺が跪く女はなまえ、お前だけだ。」
赤くなってしまった手首に労るようにキスをした
頭を垂れて手首にキスをしているリヴァイ兵長は
本当に跪いているかのようだった
「愛している」なんかより凄いことを言われた気がする──
────
翌日
兵団内に衝撃が走った
階段を降りてくるなまえに手を添えて 数段下で待つリヴァイの姿が見られた
貴族の娘にもしたことのないリヴァイが、である
それはまるで 姫に付き従う騎士のようだった
そのまま手を引いて食堂のいつもの定位置に向かう
食堂の窓際の一番奥である
リヴァイの定位置であるそこは
どんなに混んでいようが一般兵は誰も座ろうとしなかった
自然と周りは幹部が座るようになり
そのテーブルは幹部専用としてそれは暗黙の了解だ
椅子を引きなまえを座らせると、「ちょっと待ってろ。」といって傍を離れた
あまりの出来事に
丁度朝食時で賑わっていた食堂は しんっと静まりかえった
エルヴィンやハンジも動きを止め、何事かと見守っている
肝心の姫は縮こまって気の毒なくらいだが 騎士は気にもとめない
程なく、食事の乗ったトレーをそれぞれの手に持ったリヴァイが戻ってきた
「しっかり食え。」と言いながらなまえの前にトレーを置くリヴァイ
当たり前のように、リヴァイのデザートはなまえのトレーの上である
それを見ていたハンジが
「え、なに…、おめでたなの?」と呟いた
様々な憶測を呼んだが
なまえが泣いて「もうやめてくれ。」と懇願するまで 暫くリヴァイの騎士ぶりは続いた──
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