Happy Birthday Levi 25/12/2019
32 アダムとイブのツリー
この度、素敵なご縁で『アダムとイブのツリー』のタイトルで執筆させて頂きます、ちゃちゃこです!注意書きをよく読まれた上での閲覧をお願い致します。
リヴァイ×妹夢主
のお話です。
【ATTENTION】
・
兄妹相姦
(
けいまいそうかん
)
・両親が話の中で出てきますが、原作とは全く関係ない偽造両親です
上記が苦手、嫌悪感がある方は閲覧を御遠慮頂きますか、自己責任の上で閲覧をお願い致します。
─────
兄のリヴァイとその妹のなまえは、たった二人きりの家族だ。
両親は、リヴァイが九歳、なまえが四歳の頃に離婚。原因は父親の不倫だった。そこからは母親も精神が病み、その内衰弱して自殺した。首を吊った母親を見つけたのはなまえで、ぶら下がる母親の足元で泣きながら、友達と遊びに行ったリヴァイの帰りを待っていたのだ。
リヴァイはなまえに駆け寄り、抱き締めた。
「父さんや母さんの代わりに、俺がなまえを守る。大丈夫だ、お前は独りじゃない」
幼いなまえはリヴァイにしがみついて泣いた。リヴァイは泣きそうになりながら母親の足だけを見ていた。
家族が兄妹二人きりになった日。それはリヴァイの十回目の誕生日の前日のことだった。
───
それから二十年の月日が流れた。
リヴァイは二十九歳、なまえが二十五歳。
「おい、なまえ、起きろ。朝飯だ」
「はぁい……」
「寝るな、遅刻しても知らねえからな」
「はぁい……」
「おい、寝るな」
あの後は大変だった。親戚の世話になりながら、二十歳になったリヴァイがなまえとこの場所で二人で暮らすまで。未だになまえは母親のことを思い出して過呼吸になる。それ以外は、たった二人きりの家族というだけでなんら不自由ない、幸せな家族のように過ごしていた。
そして今日は。
「お、お兄さん、初めまして。なまえさんとお付き合いさせて頂いておりますっ……」
「堅苦しい挨拶はよせ。とりあえず中に入って話をしよう」
なまえの交際相手の男が挨拶に来る日だ。
出しておいたスリッパを履き、リヴァイの後ろになまえ、その後ろを交際相手が歩く。
アパートのリビングに入り、リヴァイがお茶を用意する間に、なまえの交際相手が持ってきたケーキを準備する。
「なまえ」
「ん、なに、リヴァイ」
粧
(
めか
)
したなまえが皿を準備しながら返事をする。リヴァイは茶葉を蒸らす時間を測る砂時計から視線をなまえに移した。
「……いや、なんでもない」
「はは、なにそれ」
変なの、とはにかんだ妹。
リヴァイはその妹を愛している。家族として、女性として。守っていくと決めたあの日から時が経つにつれ、特別な感情を抱く自分に戸惑った。リヴァイはそれを家族愛だと言い聞かせて今もこうして直面した現実を、どうにか飲み下そうとしている。
なまえの交際相手は優しく、そして良い男だった。背丈もあり、なまえにそれを言われてリヴァイが黙る場面もあったが、それもすぐに笑い話に変わった。
「お兄ちゃん、ああ見えて優しいんだよ。両親の代わりに私を育ててくれてさ。本当、早く恩返ししないと」
「馬鹿言え、俺はどこから見ても優しそうなナリしてるだろうが」
そう言えばこいつ、交際相手の前では俺を“リヴァイ”と呼ばないのか。
仲睦まじいなまえと交際相手のやりとりが始まり、それを表面だけで微笑ましそうに見守るふりをしながらも、胸中は穏やかではなかった。
───
街が赤、緑、白、金で彩られる時期。
なまえと過ごす最後のクリスマスの準備をしに、なまえと二人で買い出しに出ていた。
「お前、アイツは良いのか」
「アイツって、彼?なんで?」
「なんで、って。お前が今まで振られた原因に
兄貴
(
おれ
)
が含まれてるのを忘れたのか?お前はブラコン過ぎだ。あと、もっと離れて歩け、歩きにくい」
「いいよ、今の彼氏は私がリヴァイが特別な存在なんだって言ってあるし、それを理解してくれてるからリヴァイに紹介したんじゃん」
特別な存在だと?
なまえの言葉に一瞬ドキリと胸が跳ねるのを感じる。
「それに、リヴァイは何だかんだ嫌じゃないでしょ?」
組まれた腕。周りの人間に見られたら、なんて考えてなまえの腕を掴む。
「やめろ」
「周り気にしてんの?……いいよ、言わなきゃ私達が兄妹だって分かんないって。それに、カップルのフリした方が恥ずかしくないよ、今はね」
昔からこういうことにはすぐ頭が回るなまえ。ため息をついて諦めた振りをするのも、リヴァイのクセでもあった。
「好きにしろ」
周りのカップルに馴染んだ二人は、デパートや服屋を手を繋いでまわり、互いにクリスマスプレゼントを購入し、帰宅した。
───
購入したクリスマスの飾りのメインに、クリスマスツリーがあった。割と大きく、リヴァイの背丈に届きそうなもの。
「邪魔だろうが、こんなデケェの」
「いいじゃん、将来お互いの子供がみたら喜ぶよ?それに……夢だったから、私。こんなツリー飾るの」
楽しそうにツリーの箱を開封しながらも、なまえはどこか寂しげだった。リヴァイは酷く胸が痛みながらも、「そうか」と返して、ツリーの開封作業を手伝った。
片付けをしつつ、リヴァイがクリスマスの支度をする間、なまえはツリーの飾り付けをしている。それをキッチンから眺め、おかしな事に毎年恒例のケーキは自分の誕生日のプレートとサンタが乗ったものを箱から出して中身を確認した。
砂糖菓子のサンタ、トナカイ、煙突付きの家。その間に、「Happy Birthday,Levi」のプレート。
「あは、可愛いでしょ」
「……ああ、」
クリスマスオーナメントを手にしてなまえが近付いてくる。
「星、リヴァイが飾ってよ」
「いいのか?」
「うん、リヴァイに飾り付けて欲しい」
なまえに手渡されたオーナメントを、ツリーの頂きに飾る。
「ライト、付けるよ」
「ああ」
なまえが足元でスイッチを入れると、パッとツリーが輝き、二人を照らした。
どちらともなく小さな声が上がる。しばらく二人でボーッと眺めれば、なまえがふと、丸く、赤いオーナメントを手にした。
「これ、リンゴなんだって」
「リンゴ?」
「うん、リンゴ。クリスマスのお話を気になって調べたことがあってね。オーナメントにも意味があるらしくて。調べた話の中に、賢い蛇にそそのかされて、禁断の果実を食べた人間の始まりの男女、アダムとイブのお話が……」
リヴァイはなまえからの言葉の続きを待つが、一向に続きはなさそうなので、横に座る。
「……リヴァイ、あんまり興味なかったね、こういう話」
「俺が興味が無いと知ってて話すお前の話には意味がある。続きは?」
リヴァイが言うと、なまえはリンゴのオーナメントを手にしたままに言った。
「……禁断の果実を食べた二人は、楽園を追放されちゃう。だけど私は、二人はそれでいいと……思ってる。だって、それからは二人が生きるその場所が、楽園になるんだから」
なまえは横に座るリヴァイの肩に頭を預け、手にリンゴを忍ばせた。
「……リヴァイ、私……結婚しちゃうよ?」
「……どういうつもりだ」
「どうって、私達、たった二人きりの兄妹なんだから分かるよ。私もリヴァイと同じ。リヴァイ、愛してる」
互いの手の間に忍ばされたリンゴをそのままに、二人は唇を重ねた。外ではゆっくりと、天から生まれた、無垢な雪が降り始めていた。
禁断の果実を食べた二人は翌朝、クリスマスと、リヴァイ誕生日の支度がされたままで忽然と姿を消した。
アダムには労働を、イブには妊娠と出産の苦しみを背負わされたその通りに、リヴァイとなまえはその罪を背負って、二人だけの楽園を築いたという。
-Fin-
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