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そして、私達は大きな木の下へとやって来た。
少年は木に近づくと、安堵のような息をついた。
「よかった、まだ間に合う」
「何に?」
「これだよ」
少年は木の幹へと指を指した。
そこには大きな、といっても人が屈んで入れる程度の穴が空いていた。
暗く、そして黒い穴。
……まさかね。
「さあ、お姉さん。行こう」
やっぱりー!ていうかお約束よね。
「ちょ、ちょっと待って!」
穴があったら入りたいとかいうのあるけど、怖い!怖いでしょ普通!
てか普通は入らないと思います!
「早く行こう」
焦れたのか、少年が無理やり私を穴の中へと引きずりこんだ。
というより、少年が飛び込んで、手を繋いだままだった私もそのままダイブしたわけで。
そして私達は吸い込まれるように穴に入ったのだった。
■:序章 end.next 第一章
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