「なに?」


聞こえなかったので、近づいてみるとばっ、と少年は勢いよく顔をあげた。

そしてあの泣きそうな顔は何処へやら、何故か満面の笑みへと変わっていた。


さっきの涙は一体ドコに!


「見つけた!」


あまりにもさっきと違う様子に呆然としていると、少年は今度ははっきりと言った。
というより叫んだ。

そして、え?とわけがわからないでいる私の手を掴む。え、なんで。


「行こう、お姉さん!」

「え、……うわっ!」


混乱している私を、有無も言わずに少年は掴んだ私の手を引っ張りながら走り出した。


少年に手を掴まれているから当然私も一緒に走る。

というよりこの子、力が強い!
そして走るのも早い!

私はほぼ引きづられてるというか、だけど前のめりになりながらも少年の後を走る。
というより引っ張られて行く。


そしていつの間にか私達は森に入っていた。
それでも少年は止まらずにどんどん先に進んで行く。


「どこまで行くの?」

「行けばわかるよ」


だんだんと深いところまで来ている。

これじゃ迷子になってしまう!と思ってたまらなく声をかけたが、少年は教えてくれず、まだ先に行くようだ。




 

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