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「リナ、朝ごはんよ」
「はーい」
リビングからお母さんの声がして、私は下に向かって返事を返した。
自分の部屋から出てリビングに入ると、そこにはすでに朝ごはんが並んでいた。
私はすぐにテーブルに座ってトーストにかぶりつく。
きちんと手を合わせるのも忘れずに。
お母さんの手づくりジャムの甘い味が口の中に広がって、美味しさで思わずにやけていると、私の前にお母さんが呆れながら座った。
「緩みきった顔」
「だってジャムが美味しいんだもん」
「うれしい事言ってくれるのはいいけど、早く食べないと遅刻するわよ」
「わかってるって」
私は急いで残りのトーストを口に押し込んで、飲み物を一気に飲み干す。
行儀が悪いとでもいう風にお母さんに見られたが、そこは気にしない。
「ごちそうさま」
急いでお皿を片付け、バタバタと部屋に戻り、制服に着替えて今日の授業の準備をする。
私はカバンを持つと、玄関へと一直線。
「忘れ物はー?」
「大丈夫」
玄関で靴を履こうと屈んだ時。
「あれ?」
…今、何か聞こえたような気がした。
何の音かはわからないけど、聞こえた気がしたのだけれど。
「リナ、まだいたの?早く行きなさい。本当に遅刻するわよ」
「んー、お母さん何か聞こえなかった?」
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