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「うん!それじゃ入って」
黒ウサギ君が手をかざすと、人が一人通れるくらいの大きさの暗い空間が現れた。
入ってということは入るんだよね。
また落ちなければいいのだけれど。
恐る恐る私は足を入れてみる。よかった大丈夫、今度は落ちなかった。
今いる所はさっきまでいた森の中にいたのに、ここは豪華な場所だ。
天井にはシャンデリアが輝いていて、床はピカピカと綺麗に磨かれている。
あまりの場所の変わりように私は固まってしまった。
広すぎるし、豪華すぎる
「誰?」
広い部屋の中に透きとおるような高い声が響いた。
声がしたほうを見れば、金髪でウェーブがかかった長い髪をした、私と同じくらいかな?女の子がいた。
動きに合わせてひらめくレースのついたピンク色のドレスを着ていて、見た目はお人形さんのようだ。
「女王」
「黒ウサギ!あなたはまた無断で入ってきて。何度も言っているじゃない」
「ごめんなさい」
しゅんと耳をたらす黒ウサギ君に、女王はそれ以上怒らずにため息をついた。
女王様からのセリフからして、何度もこうやって入ってきてるんだろうな。
「それで、そちらの方は?」
私を見てふわりと微笑んだ。
かわいい、というより綺麗だ。
「女王、お姉さんは白ウサギだよ」
「まあ、あなたは白ウサギなの?」
「そうみたいです」
私はなった覚えはないけど……。なんて心の中で思った。
「会いたかったわ、白ウサギ」
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