裏路地を歩く影が二つ。
一つは背が高く、もう一つは小さい。


入り組んだ道を歩き、フィンシアはとあるドアの前で止まり、ドアを開けた。


ドアを開けて中に入ると、棚にいっぱいの商品。
カウンターの男が顔を上げ、入ってきた人を確認すると大きく歯を見せ笑った。


「おお、あんたか。フィンシアさん」

「久しぶりだな。リージェン」


リージェンと呼ばれた男は呼んでいた新聞を畳むと、カウンターに乗っているの物を端にどかした。


「で、今日はどんな物を……って」


そこまで言い、リージェンはフィンシアの服を掴む小さな手を見つけて固まった。


「…まさかその子供を?」


リージェンが指さす先にはフィンシアの陰に隠れるようにしているクオンがいた。


「フィンシアさんってそんな人だったんだ…。残念だよ、俺はショックだぜ」

「違う」


無表情だが、怖がっているように見えなくはない。
そんなクオンを見てリージェンは悲しみのような、本当にショックを受けたようにフィンシアを見たあと、フィンシアの否定を無視してクオン向かってしゃべりかけた。


「チビ、お前もかわいそうにな」

「だから、違うって言ってんだろ!」

「ん?そうなのか?」

「そうだ。こいつはクオン、俺の連れだ」

「あんたの連れ……」


驚いた顔をしたリージェンは、フィンシアとクオンを交互に見た。


「あんたはいつの間に子持ちになったんだ?」

「だから!連れだって。俺の子じゃない」

「よろしくな、チビ」


不機嫌な顔をして睨みつけるフィンシアを無視して、リージェンはクオンに微笑みかけた。


「………」


クオンは無表情な目でリージェンを見ると、強くフィンシアの服を掴んだ。
そんなクオンを見て、リージェンは首を傾げた。


「ああ、悪い。こいつはあまり他人に慣れてないんだ」





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