13

 
甘いものは好きか?と聞かれたから素直に「好きじゃない」と答えた。

そしたらクオンがショックを受けたような顔をした気がした。

「嫌い?」

「いや、嫌いじゃないけど。あまり食べないな」

「……食べない…」


なんだか空気がしょんぼりしてるような。
珍しく表情が変わってる。本当に珍しい。


「いや、あまりだから。食べないわけじゃないから。あれば食べるみたいな」


そう慌てて言えばクオンは少し表情が元に戻った。


「これ」


差し出されたのは赤いリボンが巻かれた包み。
なんだ?


「……大切な人にありがとうって。ウィングが言ってた。あげたら喜ぶって」


開けてみると中にはチョコが入っていた。


「どうしたんだ、これ」

「…ウィングが作って、詰めた。今日バレンタインだから」


うわぁ、ウィングが作ったのか…。何入れてるのかわからないな、怖い。


「クオンが詰めたのか」

「あと包んだ」


そういえば、包みやリボンが不格好で下手だった。
そうかぁ。なんだか最近、親バカになっているのがわかる。これは嬉しい。


「ありがとうな」


こういうチョコレートなら甘いのもいいな。



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