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「ク〜オ〜ン〜くーん!」
「てめぇはいつまでついて来るんだ!」
後ろから追ってくる人物に向かってフィンシアは蹴りをいれたが、ひょいっとかわされてしまった。
『このやろう』という目線を無視し、爽やかな笑顔を浮かべた。
「クオン君。こんにちは」
「こんにちは……」
自分の挨拶にぺこりと頭を下げてくれた事に、嬉しそうに笑うウィング。
だがフィンシアからだとクオンが戸惑っているのがよくわかる。
うん、クオンはまだウィングに慣れてないようだ。
ふん、ざまぁ見ろ。
「ねぇ、クオン君。こんなやつとどこで会ったの?」
「えっと……お墓の前?」
「お墓!?もしかしてお前、クオンの両親…!」
「バカか!そんな事するわけないだろ!」
「いや、意外な答えだったんで、つい」
「ついで俺を殺人犯にするな」
あははは、と笑うウィングだが、クオンの答えがあまりにも意外すぎたため一瞬そんな考えが浮かんでしまった。
フィンシアがそんなことをする危ないやつじゃない。
逆に危険なところに遭遇したら逃げるだろう。怖いとかではなくただめんどくさいから。
お金がからんでいたら別だが、たいていは避けて行く。
そんなめんどうくさがりなフィンシアが子供を連れているから驚きだ。
「お墓の前って、どんな状況で会ったんだか」
「さあ、俺もよく知らない」
ようするにただの気まぐれなのだろう。
そんな気まぐれで拾われたクオンも可哀相な気もするが…。
「フィン」
振り向いたクオンに頭を撫でてやる。
相変わらずの無表情だが、本人の雰囲気が嬉しそうだから良いのだろう。
と思ってしまった。
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